【2026年版】アグリゲーションとは?5つの活用例とキュレーションとの違いを解説
「アグリゲーション」という言葉を見聞きして、すぐにピンとくる方はあまりいらっしゃらないかと思います。しかし、アグリゲーションという言葉を利用したWEBサイトやサービスは私たちの身近にあり、多くの方が利用しているもののひとつです。
本記事では、アグリゲーションの意味やアグリゲーションサイトの仕組み、メリットなどを解説しています。ぜひともご確認ください。
アグリゲーションとは
アグリゲーション(aggregation)とは、英語で「集合」、「集合体」という意味の言葉で、日本語で利用される際は「複数のものをまとめること・まとめたもの」を指すケースが多くなっています。また、アグリゲーションという言葉自体はIT業界やエネルギー業界でも利用されますが、今回の記事ではアグリゲーションサイトやアグリゲーションサービスを中心に解説していきます。
アグリゲーションが利用される主な分野
アグリゲーションサイト・サービスは複数のWEBサイトや企業が運営しているサービスを統合し、ひとつのサービスとして提供するものです。ユーザーやサービス提供事業者ともにメリットのあるものとなり、アグリゲーションサイトでは「Indeed」や「Booking.com」、アグリゲーションサービスとしては銀行やクレジットカード会社などの情報をひとつにまとめて使えるサービスなどがあります。
2025年以降は、再生可能エネルギーの普及拡大にともない、エネルギー分野でのアグリゲーションビジネスも本格的に始動しています。
キュレーションとの違い
アグリゲーションと混同しやすい言葉に、キュレーション(curation)があります。キュレーションは英語で
「人力で情報を収集、整理、要約、公開(共有)すること」
を意味する単語で、アグリゲーションと同じく情報をひとつにまとめる点では共通しています。
しかし、アグリゲーションが機械による収集と表示が大多数を占めるのに対し、キュレーションは「特定の情報をまとめるとともに、情報を見やすいように編集する」ものが多くなっています。そのため、キュレーションをおこなうWEBサイト・サービスの運営者による企画コンセプトや情報の選定などがあり、メディアごとの特色が強くなる傾向があります。
アグリゲーションは情報の網羅性、キュレーションは編集者の視点による独自性が特徴です。
ただし、両者に明確な基準が定義されているものではありません。あくまでそのように識別されることが多いとご認識ください。
※参考:curationの意味・使い方・読み方 – 英辞郎 – アルク
アグリゲーションサイトの仕組み
アグリゲーションサイトは、クローリングとスクレイピングの2つの技術を組み合わせて情報を収集しています。
クローリングは、WEBサイト全体を自動で巡回し、情報を収集する技術です。これは検索エンジンのロボットと同様の仕組みで、リンクをたどりながらページを発見します。
一方、スクレイピングは、収集したHTMLデータから必要な情報のみを抽出・加工する技術で、例えば求人サイトから「職種」「給与」「勤務地」などの特定項目を取り出すことができます。
つまり、クローリングで情報を「集め」、スクレイピングで必要なデータを「抽出」する役割分担があるわけです。
スクレイピングやクローリングについては関連記事で詳しくまとめています。気になった方はぜひともご参考ください。
関連記事:クローリングとは?活用方法やスクレイピングとの違い、メリット・デメリットを解説!
情報収集から表示までの流れ
集めた情報は基本的に編集などはせず、それぞれのアグリゲーションサイトに合った統一フォーマットで表示します。
ただ特定の情報をまとめているように見えますが、実はWEB上の情報が膨大にある現代では、アグリゲーションサイトのように情報が一元化されているとユーザーに価値のある情報が提供しやすくなります。
また、アグリゲーションサイトは、特定分野の情報を網羅的に提供しているため、Googleなどの検索エンジンから「専門性が高い」と評価されやすい特徴があります。実際、「求人 東京」「ホテル予約」などのキーワードでは、IndeedやBooking.comなどのアグリゲーションサイトが上位表示されるケースが多く見られます。検索上位に表示されることで、ユーザー、掲載事業者、運営者それぞれにメリットが生まれる仕組みです。
アグリゲーションサイトのメリット
ユーザー、情報が掲載される事業者、アグリゲーションサイト運営、それぞれの立場からメリットを説明します。
ユーザーのメリット
アグリゲーションサイトは、ユーザーが膨大な情報から必要なものを探し出す時間と手間を削減します。例えば求人検索の場合、複数の企業サイトや求人媒体を個別に確認する必要がなく、一度の検索で比較検討が可能です。ユーザーがWEBサイト内を調べるだけで広く情報を得られることに加え、アグリゲーションサイトは検索結果の上位に表示されやすくなっているため、すぐに見つけられることもメリットになるでしょう。
情報が掲載される事業者のメリット
WEB上の情報があまりにも多くなっているため、事業者がWEBサイトを立ち上げても検索上位に表示されず、ユーザーにリーチできない場合があります。そこで、アグリゲーションサイトのような検索結果上位のWEBサイトに情報が掲載されることで、自社情報をユーザーに届けることができるようになるメリットが生まれます。また、アグリゲーションサイトをきっかけに事業者のWEBサイトへの流入が増え、ユーザーの増加、検索結果の上昇などにつながる可能性もあります。
アグリゲーションサイト運営者のメリット
アグリゲーションサイトは基本的に広告費によって運営されています。広告費が発生するタイミングは運営企業によってさまざまです。例えば、アグリゲーションサイトを経由して情報が掲載されている事業者のサービス利用があったとき、アグリゲーションサイト内で事業者の情報を優先表示するとき、情報掲載事業者とは別のアフィリエイト利用があったときなどとなります。
また、アグリゲーションサイト運営者はWEBサイトのフォーマットを整えていれば、他の事業者の情報を掲載するだけでWEBサイトのコンテンツが埋まることになります。そのため、コンテンツ作成にかける手間を削減でき、他の業務に時間をかけることができる点もメリットのひとつとなります。
アグリゲーションの活用例【5つ】
アグリゲーションサイト・サービスの活用例を5つお伝えします。
1. 求人アグリゲーションサイト(Indeed、求人ボックス)
求人情報のアグリゲーションサイトで国内最大規模を誇るのが「Indeed」です。Indeedはアメリカで創業したサービスですが、2012年にリクルートが買収し、現在はリクルートのグループ会社として運営されています。
2025年時点で、国内の月間訪問数が2,840万以上となっています。
求人情報の詳細画面を確認すると、「企業採用ホームページ」「スポンサー」「マイナビミドルシニア」など掲載元が明記されており、どの情報源から収集されたかが分かるようになっています。特にスポンサー求人は、企業が広告費を支払うことで優先表示される仕組みです。
他にも「求人ボックス」などのサービスがあり、求人分野はアグリゲーションサイトが特に発展している領域です。
2. 旅行・宿泊アグリゲーションサイト(Booking.com、トラベルコ)
Booking.comは、1996年にオランダで始まったオンライン宿泊施設予約サービスです。日本語でのサービスは2005年に開始され、外資系企業の宿泊予約サービスとしては一番長い歴史があります。世界70ヵ国で事業を展開し、オンライン宿泊施設予約サービスでは最大手となっています。
国内では「トラベルコ」なども旅行情報のアグリゲーションサイトとして広く利用されています。
3. 不動産アグリゲーションサイト(LIFULL HOME’S、SUUMO)
1997年に「HOME’S(ホームズ)」としてサービスを開始した不動産・住宅情報サイトです。日本でもテレビCMなどを通して認知している方が多いかと思いますが、2019年には世界規模でアグリゲーションサイトを運営していたMitula Group Limitedを完全子会社化し、「LIFULL CONNECT」を設立したことで不動産アグリゲーションサイトとして世界最大規模のグループになっています。
国内では「SUUMO」も同様に不動産情報を集約したアグリゲーションサイトとして多くのユーザーに利用されています。
※参考:LIFULLは、新会社「LIFULL CONNECT」を設立し、不動産アグリゲーションサイト世界圧倒的No.1企業へ
4. アカウントアグリゲーション(マネーフォワード、マネーツリー)
アカウントアグリゲーションとは、銀行や証券、クレジットカード、ポイントなどの複数の金融機関の情報をひとつにまとめ、一元的に参照できるサービスのことです。従来は各金融機関のWEBサイトで個別に本人認証する必要がありましたが、アカウントアグリゲーションでは一度の認証ですべての口座情報を確認できるため、ユーザーの利便性が大幅に向上しています。
API(Application Programming Interface)の活用
アカウント連携にはAPIと呼ばれる技術を利用しています。APIとは、異なるWEBサイトやアプリケーション間でデータや機能を安全に共有するための仕組みです。日本政府は2017年の銀行法改正により、金融機関にAPI公開を努力義務として求め、マネーフォワードやマネーツリーのようなフィンテック企業との連携を推進してきました。
※参考:金融機関とのAPI契約状況について – 株式会社マネーフォワード
2025年のアカウントアグリゲーション最新動向
Money Forward Xは2025年3月、投資サービス「THEO」にアカウントアグリゲーション基盤を提供し、新NISA対応機能を実現しました。これにより、複数の証券口座を一元管理できる環境が整いました。日本政府のキャッシュレス化推進もあり、アカウントアグリゲーションサービスは今後さらに拡大が見込まれています。
5. エネルギーアグリゲーション
エネルギーアグリゲーションとは、複数の小規模な電力需要家や発電設備(太陽光パネル、蓄電池など)を束ね、ひとつの大きな電力リソースとして管理・制御するビジネスモデルです。「アグリゲーター」と呼ばれる事業者が、個々の家庭や企業の電力を統合し、電力会社との需給調整に活用します。
2026年現在の動向として、再生可能エネルギーの普及拡大にともない、エネルギーアグリゲーションビジネスが本格的に始動しています。従来の大規模発電所中心の電力供給から、分散型エネルギーリソース(太陽光、蓄電池、EVなど)を束ねて需給バランスを取る仕組みへと変化しており、脱炭素社会の実現に向けて重要な役割を果たすと期待されています。
※参考:電力の需給バランスを調整する司令塔「アグリゲーター」とは? – 資源エネルギー庁
IT技術分野での「アグリゲーション」
ネットワーク技術の分野で使用される意味を解説します。
リンクアグリゲーション
リンクアグリゲーションとは、複数のネットワーク回線を束ねて、1本の太い回線として使う技術です。これは高速道路に例えると分かりやすいでしょう。1車線の道路では渋滞が起きやすいですが、4車線に増やせば4倍の車が同時に通行でき、スムーズに流れます。リンクアグリゲーションも同じように、複数の回線を束ねることで通信速度を向上させることができます。
リンクアグリゲーション技術の大きなメリットは、速度向上だけではありません。もし複数ある回線のうち1本に障害が起きても、残りの回線で通信を続けられるため、ネットワークが止まりにくくなります。また、通信の負荷を複数の回線に分散できるため、特定の回線だけ混雑する事態を防げます。
まとめ
アグリゲーションサイトは、ユーザーの情報収集を時短でき、掲載事業者の露出を拡大、運営者のコンテンツが充実するなど三者にメリットをもたらす仕組みです。
求人・旅行・不動産・金融・エネルギーなど多様な分野で活用されており、その本質は「複数の情報源を集約し、統一された形で提供する」点です。
2026年現在、AI技術の進化によって個人への最適化、エネルギー分野での展開、新NISA対応などの金融アグリゲーション拡大が進んでいます。
IT・WEB業界への転職を考える方にとって、アグリゲーション技術の理解は、多くのWEBサービスで応用されるデータ収集・分析・表示の仕組みを学ぶ上で有益です。
本記事で得た知識を活かして、求人情報の検索など、まずは身近なアグリゲーションサイトを実際に使ってみてください。



