【2026年版】クローリングとは?活用方法やスクレイピングとの違い、メリット・デメリットを解説
WEBサイトを運営している方なら「クローリング」という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。検索エンジンで上位表示を目指すには、クローリング対策が欠かせません。しかし、具体的にどのような技術で、どう活用すればよいのか分からない方も多いはずです。
本記事では、クローリングの基本概念からスクレイピングとの違い、実践的な活用方法、さらに最新のAI連携事例まで、初心者にもわかりやすく徹底解説します。Google Search Consoleを使った具体的な対策方法もご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
Contents
クローリングとは?
クローリングとは、ボット(クローラー)がWEBサイトを自動的に巡回し、リンクを辿りながらページを発見・収集する技術です。検索エンジンがインデックス(検索用に整理されたページ情報の索引)を構築する際の基盤となる手法で、広範囲のページを体系的に探索します。
例えば、ECサイトのトップページを起点として、カテゴリ別の商品一覧を辿り、さらに個別の商品ページを発見・記録していくのがクローリングです。
スクレイピングとの違い
WEB上の情報収集プログラムとしては、クローリングの他に「スクレイピング」という言葉をご存知の方もいらっしゃると思います。
クローリングは「ページの発見・収集」を目的とするのに対し、スクレイピングは「ページから特定データを抽出・解析」するのが目的です。クローリングは探索の過程、スクレイピングはデータ取得の技術という関係にあります。
例えば、ECサイトの商品ページURLのリストを与えると、各商品の商品名・商品説明・販売価格・商品画像など指定部位を抜き出し、データベースへ保存するのがスクレイピングです。
上記の表のように、スクレイピングは画像や映像、テキストなど指定した要素を抽出し、クローリングは主にURLリストを生成します。
しかし、一般的にクローリングとスクレイピングは上述したように区別されますが、厳密な定義などはありません。そのため、企業や現場によっては、WEB上などからの情報収集をクローリングあるいはスクレイピングと称する場合もあるので注意しましょう。(※本記事では、クローリングに統一して説明をしていきます。)
インデックスとの違い
クローリングとインデックスは混同されやすいですが異なる概念です。
クローリングはWEBページ情報の収集・保管、インデックスは収集した情報を検索可能な形で整理・登録することを指します。
重要な点は、「クローリングされた=検索結果に表示される(インデックス登録される)」ではない点です。
クローリング後、Googleのアルゴリズムがページの品質を評価し、インデックスに登録するか判断します。低品質なページや重複コンテンツはインデックスされない場合があります。
クローリングが重要と言われる理由
WEBサイトなどを作成する立場の視点となりますが、クローリング対策を採ることが重要だと言われています。なぜなら、検索エンジンで圧倒的なシェアを誇るGoogleの「GoogleBot」をはじめ、各検索エンジンはクローラー(クローリングをするプログラム)でWEB上の情報を集め、検索エンジンで利用するデータベースにWEBサイトの情報を登録しているからです。
そのため、GoogleBotなどのクローラーにWEBサイトなどを認識してもらわないと、作成したWEBサイトが検索結果に表示されません。(Yahoo!JAPANなどの他の検索エンジンでも同様です。)
検索エンジンでの検索が一般化した現代では、WEBサイト訪問者の約50%以上が検索エンジン経由との調査もあり、作成したWEBサイトが検索上位に表示されることでビジネスチャンスにつながります。そのため、WEBサイトなどの訪問者数を増やすためにも、クローリング対策が重要だといわれています。
クローリングのメリット
クローリングのメリットを2つお伝えします。
大量データの自動収集が可能
クローリングを利用すると大量のデータを収集できるため、ビッグデータ解析をはじめとするデータサイエンス業務などに活かすことができます。特に2026年現在では、AI・機械学習の学習データ収集や、生成AIと組み合わせた自動分析など、先端技術との連携が進んでいます。また、データ解析で導き出した情報は商品やサービス、マーケティングなどのビジネス展開や、研究機関での資料としても利用できます。
業務効率の向上を見込める
クローリングは、システムを開発すれば自動でデータ収集をしてくれます。例えば、人力では数週間かかる1万件のWEBページ情報収集を、クローリングツールなら数時間で完了できます。そのため、業務工数の削減につながり効率的な作業ができるようになるでしょう。また、人力では不可能な量の情報収集ができるため、データ解析に利用する情報の母数が増え、より正確なデータの傾向を調べることができます。さらに、プログラムを利用しての情報収集となるため、ヒューマンエラーの削減にもつながります。
クローリングのデメリットと注意点
情報収集では多くのメリットがあるクローリングですが、クローリングをおこなう際には注意をしなければいけません。ここでは3つをピックアップしてお伝えします。
法的リスク(著作権・利用規約違反)
クローリング自体は違法行為にはなりません。しかし、クローリングをしたWEBサイトなどがクローリングやスクレイピングによる情報収集を禁止している場合、利用規約違反として訴えられる可能性があります。
また、クローリングで情報収集をするWEBサイトなどは誰かが作成したものです。そのため、意味のない情報の羅列などを除いてWEBサイトは著作物となり、著作物には著作権がともないます。データ解析に利用するだけでは著作権侵害になりませんが、収集した情報を複製し他人に譲渡した場合などは違法行為とみなされるため注意しましょう。
サーバー負荷とアクセス制限
WEBサイトの情報を閲覧する際は、WEBサーバーから該当するWEBサイトの情報を引き出す必要があります。クローリングはプログラムのため、実際に人の目にWEBサイトが表示されるわけではありません。しかし、WEBサイトにアクセスする以上、該当するWEBサーバーに負荷をかけていることになります。
実例:岡崎市中央図書館事件から学ぶ
クローリングをおこなっていた男性がWEBサイトをダウンさせ、実際に逮捕されるまでに至った「岡崎市中央図書館事件」の事例があります。
WEBサーバーに過度な負担をかけないためにも、クローリングをする際は十分に調べるようにしましょう。
倫理的配慮とrobots.txtの遵守
robots.txtとは、WEBサイトの運営者がクローラーに対してアクセス可能な範囲を示すファイルです。
法的拘束力はないものの、robots.txtの指示に従わないクローリングは、利用規約違反や不正アクセスとみなされるリスクがあります。
クローリング実施前には、対象サイトのrobots.txtを必ず確認し、指示に従うことが重要です。
クローリングの活用方法
クローリングの活用方法を5つお伝えします。
検索エンジンの作成
プログラミング言語やデータベース、WEBサーバーなどの知識があれば、検索エンジンを自作することも可能です。大規模な検索エンジンの開発となると、Yahoo!JAPANが2010年からGoogleの検索システムを採用しているように、自社開発をして採算が取れるものではありません。しかし、社内情報や観光名所の情報、求人情報、不動産情報など、何かしらの情報に特化した、ポータルサイト内の検索エンジンとしては活用できます。
※参考:Yahoo! JAPAN のより良い検索と広告サービスのために
市場調査
クローリングをすると、SNSでの商品の反応やECサイトでのレビューなどの情報を収集できます。近年では、リアルタイムでのデータ監視ニーズも高まっており、金融・EC・広告分野などで活用されています。そのため、自社商品の改善はもとより、同業他社商品との比較なども調査可能です。また、集めた情報は新規事業立ち上げ時のユーザーリサーチにも利用できるので、ユーザー像の想定(ペルソナ)などの事業戦略を立てる資料集めとしても活用できます。
営業リストの作成
WEB上に公開されている企業の情報に絞ってクローリングをおこなうことで、営業先となる企業のホームページや住所、メールアドレスなどの情報を簡単にリスト化できます。しかし、企業によってはクローリングでの情報収集を利用規約違反にしている可能性もあるため注意しましょう。
広告配信
ECサイトや不動産サイトなどを運営している場合、クローリングを活用して広告媒体用のデータを自動生成できます。
自社のシステムで最新の商品データを広告媒体用に加工して毎日更新する仕組みがない場合でも、クローリングツールを使えば自動的にWEBサイトから商品情報を収集し、広告配信に必要な形式へ変換できます。これにより、常に最新の商品情報で広告配信が可能になり、広告効果の向上が期待できます。
価格モニタリングとダイナミックプライシング
クローリングを活用すると、競合他社の価格情報を収集・監視できます。ECサイトやホテル予約・航空券販売サイトなどでは、定期的にクローリングをおこない、市場の価格トレンドや需要の変化を把握します。
収集した価格データを分析し、ダイナミックプライシング(需要や競合状況に応じて価格を変動させる手法)に活用すると、収益アップと市場競争力を維持できます。
クローラーの種類
検索エンジンで利用されているクローラーやクローラーツール(スクレイピングツール)を説明します。
検索エンジン用クローラー
2025年時点での日本の検索エンジンシェア率は、Googleが約80%、Yahoo!JAPANが約8-11%、Bingが約7-16%となっており、GoogleとYahoo!JAPANで市場の約9割を占めています。Yahoo!JAPANは2010年からGoogleの検索システムを採用しているため、実質的にGoogleのアルゴリズムが日本市場の約90%を占めていることになります。他の検索エンジンを意識する場面は少ないかと思います。しかし、世界には上記以外にも検索エンジンが存在しており、それぞれに利用しているクローラーも異なります。各検索エンジン用のクローラーは以下のものです。
また、クローラーは「ボット|bot」、「ロボット|robot」、「スパイダー|spider」などとも呼称されます。
※参考:Search Engine Market Share Japan | Statcounter Global Stats
クローラーツール(スクレイピングツール)
クローラーを独自開発しなくてもクローリングができる、「クローリングツール(スクレイピングツール)」やサービスが多数提供されています。
人気のツールには、「Octoparse」、「Browse.ai」、「ParseHub」などがあります。
クローラーを作成する技術がない場合や開発に工数をかけられない場合などに有効活用できます。特に近年はプログラミング知識不要の「ノーコードツール」が主流となっています。有償・無償のものがありますので、ランニングコストを考慮したうえで利用するか否かを考える必要があります。
2025年のトレンドとして、AI搭載自動分析機能、リアルタイムデータ監視の需要が拡大しています。
クローラーにWEBサイトをクローリングさせる方法
作成したWEBサイトを検索エンジンに表示させるには、クローラーに認識される必要があります。クローリングのタイミングは不明なため、サイト側から情報を伝える方法が用意されています。
日本の検索エンジン市場はGoogleとYahoo!JAPANが9割を占め、Yahoo!JAPANもGoogleのツールを利用しているため、Google Search Consoleを使った対策が効果的です。
Google Search ConsoleとはGoogleの検索結果でのサイト表示状況を監視し、インデックス管理やクローリングエラーの確認ができる無料の管理ツールで、Googleが提供しています。
以下で紹介する2つの方法は、このツールを活用してWEBサイト情報をGoogleに伝えます。
※参考:Search Console の概要 – Google Support
XMLサイトマップを作成・送信する
XMLサイトマップとは、XML(データ構造を記述する言語)形式で作成された、検索エンジンにWEBサイトのWEBページ構成などの情報を伝えるためのファイルです。大規模なWEBサイト、動画・JavaScriptなどを多用したWEBサイトやWEBページの場合、クローラーがすべての情報を検出できず、正確に把握・評価してくれない可能性があります。そのため、XMLサイトマップを作成・送信し、認識されるように促します。
XMLサイトマップをGoogleに送信するためには、Google Search Consoleにログイン後、下記画像にある①「サイトマップ」を選択し、②「新しいサイトマップの追加」にURLを入力する必要があります。
また、Googleの公式サイトでは、XMLサイトマップが必要になるケースもあります。下記の記事では不要なケースについて説明していますので、気になった方はこちらもご参考ください。
※参考:サイトマップの概要 | Google 検索セントラル | ドキュメント
インデックスリクエストを送る
Google Search Consoleにログインし、①「URL検査」を選択、②の場所にWEBサイトやWEBページのURLを入力すると、Googleの検索結果で該当するWEBサイトなどが表示されているか調べることができます。
登録されていた場合は以下が表示されます。
登録されていない場合は以下の表示です。
登録されていない場合、表示されたページのまま「インデックス登録(検索エンジンのデータベースへの登録)をリクエスト」をクリックするとGoogleへ該当URLを登録するよう促すことができます。
Googleに登録されていない場合、WEBサイトがクローリングされるまで検索結果に表示されることがありません。新しく作成したWEBサイトやWEBページはURL検査をおこない、表示されているか確認するようにしましょう。
クローリングは抑制することができる
「他のWEBページに比べて情報が少なく、WEBサイトの評価が下がる可能性があるWEBページ」、「会員情報などが掲載されているWEBページ」、「投稿の準備をしていて、掲載日をクローリングの情報とできる限り一致させたいWEBページ」などがある場合、クローリングを抑制する対策を講じることができます。
Googleの公式サイトでは、「robots.txtファイル(クローラーの動作を制御するファイル)の作成」、「HTMLページへのメタタグの追加」、「HTTP応答ヘッダーでの指示」でクローラーのアクセスをブロックできると説明されています。設定方法については、下記の記事をご参考ください。
クローラー開発に向いているプログラミング言語
RubyとPythonはクローラー開発でよく使われるプログラミング言語です。それぞれの特徴をご説明します。
Ruby
Rubyは日本人のまつもとゆきひろ氏が開発したオブジェクト指向のスクリプト言語です。文法が簡単で学習環境も整っている、WEBアプリケーション制作効率を上げる「Ruby on Rails」フレームワークがある、などの理由で、特にWEB開発の分野で使用されています。日本発祥の言語として日本語の資料が豊富で、初心者がWEB開発を学ぶ際の選択肢の1つとして位置づけられています。
クローラー開発では、「Nokogiri」「Mechanize」「Ferrum」などのライブラリがよく利用されます。
上記と標準ライブラリの「open-uri」を組み合わせることで、効率的なクローラー開発が可能です。
関連記事:プログラミング言語【Ruby】とは?Rubyの特徴や使用の注意点を解説
Python
Pythonも、Rubyと同じように文法が簡単で学習環境が整っている、オブジェクト思考のスクリプト言語です。プログラミング言語として開発できるシステムが多く、近年注目されている人工知能や機械学習、データ解析などにも強いプログラミング言語です。2025年のTIOBEプログラミング言語ランキングでは1位を獲得し、過去最高の評価26.98%を記録しています。AI・機械学習分野での需要が特に高く、クローラー開発でも推奨される言語となっています。
Pythonのクローラー開発では、「requests」、「BeautifulSoup」、「Scrapy」、「Selenium」、「Playwright」などのライブラリがよく利用されています。
関連記事:PythonでWEBスクレイピングを始めるには?必要なライブラリや注意点をご紹介
まとめ
この記事では、自身がクローリングをする場合と検索エンジンにクローリングされる場合について解説をしました。前者はメリットと注意点について、後者はクローリングされる重要性と対策方法をご認識いただければ幸いです。また、自身でクローラーを開発しようとしている方は、検索エンジンで【クローリング(スクレイピング) Ruby(Python)】と検索をすればたくさんの情報が出てきます。ぜひともご確認ください。



