プロデューサーとディレクターの違いって何?それぞれの違いと特徴をわかりやすく解説
テレビ番組やニュースサイトなどで、「プロデューサー」や「ディレクター」の職種を見聞きする機会も多いと思います。しかし、言葉の意味をなんとなくは知っていても、両者の違いまで認識している方は、あまりいらっしゃらないのではないでしょうか?
また、プロデューサーや、ディレクターはエンタメ(芸能)業界以外でも、広告業界やIT業界でも広く用いられている役職のひとつです。
本記事では、プロデューサーとディレクターの違いや、業界別での役割、仕事内容などを解説しています。ぜひともご確認ください。
Contents
プロデューサーとディレクターの違いとは?
プロデューサーと、ディレクターの概要をお伝えをしてから、両者の違いをお伝えします。
プロデューサーとは
プロデューサーとは、英語で【producer |製作者、興行主、生産者、生産国】などの意味を持つ言葉です。しかし、日本語では「企画や制作などで、0から1を生み出すクリエイティブな作業をおこない、進み出したプロジェクトの全体管理や、全体責任を負う役職」などの意味合いが、一般的な認識でしょう。
プロデューサー職は、さまざまな業界で採用され、エンタメや映像、広告、デザイン、ITなどでは職業を表わし、「プロデューサー」や「⚪︎⚪︎プロデューサー」などの名前で呼称されます。業界や、プロジェクトにより仕事内容や役割は異なりますが、「企画の立案」「スポンサーやクライアントへの交渉や・折衝」「資金の調達」「プロジェクトメンバーの選出」などは共通する場合が多いです。
プロデューサーに求められる視点は、事業全体の収益性、戦略性、そして長期的な成長です。市場動向を分析し、競合他社との差別化戦略を立案するのも重要な業務の一部となります。経営陣やクライアントとの高次元な意思決定に関わることが多く、ビジネス全体への影響を常に考慮した判断が求められます。
ディレクターとは
ディレクターとは、英語で【director|指導者、指揮者、監督、重役】などの意味を持つ言葉で、日本語では「動き出したプロジェクトの制作現場の管理や責任を負う役職」としての意味合いが、一般的な認識になります。プロデューサーと同じく、芸能や映像、広告、デザイン、ITなどでは職業を表す言葉として用いられ、「ディレクター」や「⚪︎⚪︎ディレクター」、芸能にあたる映画や芝居では「監督」「演出家」と呼称されることもあります。
業界や、プロジェクトにより仕事内容は異なりますが、ディレクターは、企画を経て動き出したプロジェクトの「制作現場のスケジュールや人員、クオリティの管理をし、責任を負う」ことは共通しています。
ディレクターに求められる視点は、プロジェクトの確実な遂行、品質の維持、納期の厳守です。現場で発生する技術的な問題や人的リソースの調整に対応し、チーム全体のモチベーション管理もおこないます。クライアントとの直接的なコミュニケーションを通じて、要求仕様の詳細を把握し、制作チームに的確に伝達する橋渡し役としての機能も果たします。
業界別での役割
プロデューサーとディレクターの具体的な役割は、業界によって大きく異なります。
業界別にプロデューサーやディレクターの役割をお伝えします。
IT業界での役割
IT業界では、「WEBプロデューサー」や「WEBディレクター」の職種名で役職を用意されるケースがあります。両者の大きな違いは、WEBサイトや、WEBサービスを開発する際の「企画があるか否か」です。IT業界でも、WEBディレクターが企画の立案をし、WEBディレクターは、現場の制作管理が多くなる印象です。
しかし、WEBプロデューサーが、WEBサイトやWEBサービスの要件定義や設計など「現場制作の上流工程までを担当するケース」も多くなっており、プロデューサーとディレクターの役職がある業界でも、特徴的なものになるかと思います。また、WEBプロデューサー、WEBディレクターなどの職業名は存在しますが、IT業界でも、両者の定義が明確に分かれているものではなく、WEBディレクターが、企画から参加するケースも見受けられます。そのため、両者の違いは、企業や案件によって異なると認識しておいたほうがよいでしょう。
広告業界での役割
広告業界では、「広告プロデューサー」や「クリエイティブディレクター」「アートディレクター」などの役職が存在します。広告プロデューサーも他の業界のプロデューサーと同じく、クライアントとの交渉や折衝をおこないますが、他の業界に比べ「営業」の側面が強いです。
広告ディレクターは、具体的なクリエイティブ制作を指揮します。コピーライターやデザイナーへの指示出しや、撮影現場での演出も担当範囲です。
また、広告業界は、コンペティション(コンペ)といって、複数の広告代理店などに企画提案や入札を依頼し、複数案から採用する広告を選ぶ契約方法も多くなっているため、コンペティションに沿った企画を立案するのも、広告プロデューサーの仕事です。
クリエイティブディレクターや、アートディレクターに関しては関連記事があります。ぜひ、ご確認ください。
関連記事:クリエイティブディレクターの仕事内容は?年収や必要なスキルも解説
エンタメ業界での役割
エンタメ業界では、「プロデューサー」や「ディレクター」「アシスタントディレクター」のような役職が存在し、「製作総指揮(エグゼクティブプロデューサー)」などプロデューサーよりも上職にあたる最高責任者や「映画監督」「演出家」などのディレクターの役割を持つ役職があります。
エンタメ業界でのプロデューサーやディレクターは、プロデューサーのほうがディレクターの上職にあたるケースが多くなり、両者の役割がしっかりと分かれているか、プロデューサーがディレクターを兼任するケースが多くなっています。また、両者の役割がしっかりと分かれている場合、仕事の管轄が異なっているため、お互いに調整・サポートをしながらプロジェクトを進行します。
本項ではプロデューサーとディレクターの違いをみてきましたが、実際の案件での違いも気になるところではないでしょうか。下記にて、弊社アールストーンにて取り扱っているプロデューサー・ディレクター求人の中から厳選してご紹介いたします。気になる方はぜひ、ご確認ください。
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プロデューサーの仕事内容
プロデューサーの主な仕事内容を3つお伝えします。
プロジェクトの責任者
プロジェクトの全体責任を負うことが、プロデューサーの重要な責任です。プロジェクトの予算や、進捗管理はもとより、最終的な品質のチェックもしなければなりません。現場を把握しているディレクターに状況を確認し、調整・協力して仕事を進めます。また、プロデューサーは、プロジェクトの最高責任者となることがほとんどのため、プロジェクトの良否を分ける重要な役職でもあります。プロデューサーの腕で、制作の進行や品質も変わってくる可能性があり、重大な責任を負っています。
プロジェクトのスケジュール管理
自社やクライアントがいるプロジェクトに関わりなく、プロジェクトには期日やスケジュールを定めることが一般的です。プロデューサーは自身の経験から全体の段取りを組み、いつまでに工程を終わらせる、万が一の場合に備えてスケジュールにゆとりを持たせておく、プロジェクトを管理する手法を定めるなど、仕事が円滑に進行するために考えを巡らせる必要があります。
プロジェクトを計画通りに進行させるためには、適切な人材の選定が不可欠です。特に、専門的なスキルを持つ「職人」が必要な場合、プロジェクトの成功は人材選びにかかっているため、各役割を統括できる中心となる人材を慎重に選定します。中心以外の詳細な人員配置は、通常、ディレクターに委ねて、プロジェクトの専門性を確保します。
それぞれの役割に最適な人材を配置し、プロジェクトの品質と進行スピードを高めることができます。
企画の立案
企画の立案も、プロデューサーの重要な仕事の1つです。クライアントがいる、いないに関わらず、プロジェクトの目的達成、目指すべきかたちの実現を鑑みたうえで、プロデューサーは企画を立案しなければなりません。
ビジネスモデルの構築と収益シミュレーションをおこない、企画の実現可能性と収益性を検証します。プレゼンテーションを実施し、ステークホルダーからの承認を獲得して、プロジェクトを次の段階へと進めていきます。
また、業界により企画の趣旨や内容は異なりますが、企画をするためには、業界の仕事や状態を理解し、プロジェクトを実行・完成させるためのイメージを持つことが必要です。そのため、プロデューサーになるには、さまざまな経験や知識、発想力が備わっていなければならず、プロデューサーの役職が設けられる業界では、一般的に下積み期間が必要となります。プロデューサーは、プロジェクトの全体責任を負う立場のため、責任にふさわしい能力が求められます。
ディレクターの仕事内容
ディレクターの主な仕事内容を3つお伝えします。
現場のタスクやスケジュールの管理
チーム内のタスクや、スケジュールの管理をして、滞りなくプロジェクトが進むようにしなければなりません。ディレクターがおこなう現場管理は、「ディレクション」などとも呼ばれ、ディレクションは、指揮や指導、進行管理の意味で利用される言葉です。
プロデューサーが、プロジェクトの全体管理をするのと同様に、ディレクターが現場の管理をするためには、プロジェクトに必要なさまざまな役割に関する知識や経験が必要です。また、業界によっては管理ツールなどを通して全体確認をとる必要なども出てくるため、ビジネスツールに対する理解が求められる場合もあります。
クライアントやディレクターと現場をつなげる
プロジェクトの進行が滞る原因の1つに、クライアントやディレクターなど「上層部と現場の認識の乖離」を挙げることができます。クライアントやディレクターの要望が、現場感覚や管理状況、リソースなどの理由から実現が難しい場合などは、ディレクターが現場責任者として説明をし、橋渡しのような役割を担います。ディレクターは、上層部と現場の意見を理解したうえで、折衷案となる提言をする必要もあるでしょう。ディレクターは、見方によっては中間管理職のような位置付けとも説明できる立場になるため、人と人とをつなげ、円滑にプロジェクトを進行させる配慮も求められます。
プロジェクトメンバーとのコミュニケーション
チーム内での情報共有を促進し、メンバー間の連携を強化します。各メンバーのスキルや特性を把握し、最適なタスク配分をおこないます。
個別メンバーが抱える技術的な課題や困難に対して適切なサポートを提供します。定期的なミーティングを開催し、プロジェクトの進捗や課題を共有します。
チームのモチベーション管理やチームビルディングも重要な業務です。情報共有とナレッジマネジメントを通じて、チーム全体のスキル向上と効率化を図ります。
プロデューサーとディレクターの主な違いをまとめて比較
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項目 |
プロデューサー |
ディレクター |
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求められる視点 |
経営戦略・事業全体最適の視点 |
プロジェクト遂行・品質管理の視点 |
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関わるフェーズ |
事業企画から運営までの全工程 |
プロジェクト実行から納品までの具体的プロセス |
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意思決定のレベル |
経営判断・予算承認 |
現場レベルの判断・タスク調整 |
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責任範囲 |
戦略的意思決定レベル |
戦術的実行レベル |
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アウトプット例 |
・事業計画書 ・経営層向け予算計画 ・KPI分析レポート |
・詳細仕様書 ・プロジェクト工程表 ・週次進捗報告書 |
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関わる範囲の例 |
・市場分析 ・事業戦略立案 ・経営指標設計 ・全社的予算管理 |
・詳細計画策定 ・チームリソース調整 ・品質・進捗管理 |
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主なステークホルダー |
経営層・株主・事業スポンサー |
プロジェクトチーム・顧客担当者 |
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関係者・連携先 |
・役員、マーケティング部門、営業部門、財務部門 |
・開発チーム、デザイン部門、品質管理チーム、運用チーム |
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主な連絡手段・頻度 |
・経営会議(月次) ・役員報告(週次・月次) ・戦略検討会(随時) |
・朝のチームミーティング ・チャットツール連携 ・週次進捗確認会議 |
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必要スキル |
経営戦略立案力・折衝能力・全体最適化思考 |
コミュニケーション能力・課題解決力・細部まで目の届く管理能力 |
プロデューサーは「何をやるか」を決める立場で、ディレクターは「どうやるか」を実行する立場で、両者は協力関係にあります。
プロデューサーは事業全体の成功に責任を持ち、売上や利益などの経営指標で評価されます。一方、ディレクターはプロジェクトの品質や納期、チームの生産性など現場の指標で評価される点が大きく異なります。
次にプロデューサーとディレクターに必要なスキルセットや年収を解説します。
プロデューサーやディレクターに必要なスキルセットや収入は、実際の求人をご確認いただくことでより理解しやすくなります。ぜひ、下記求人も合わせてご覧ください。
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必要なスキルセット
プロデューサーとディレクターに必要なスキルセットをお伝えします。
プロデューサーに求められるスキルセット
プロデューサーに必要な能力には、以下が挙げられます。
・企業やプロジェクトの目的や願望を実現するための企画力や発想力
・クライアントやスポンサーと交渉・折衝をするための商談力やコミュニケーション能力
・企画やプロジェクトを成功させるためのマーケティング能力やプロモーション能力
・プロジェクト全体を管理するためのマネジメント能力
・人材を集めるための人間力や人脈
プロデューサーは、企画を発案し0から1を生み出す仕事ともいえ、企画力や発想力は、なくてはならないスキルです。また、企画やプロジェクトを成功させるためには、マーケティングやプロモーションを通じて、顧客ニーズを満たしたり、認知力を上げさせるための戦略も必要です。さらに、全体のマネジメント業務もおこなう必要があるため、プロデューサーとしての仕事をまっとうするためには、幅広い能力が求められます。
戦略や上記の能力がすぐに身につくとは考えづらく、プロデューサーを目指すのであれば、どの業界でも、長期的な視点を持つことや、相応の努力が必要になるかと思います。
ディレクターに求められるスキルセット
ディレクターに必要な能力には、以下が挙げられます。
・現場の進捗や状況を把握するための現状認識能力
・クライアントやディレクター、プロジェクトメンバーへの理解やコミュニケーション能力
・現場をよい状況に導くためのリーダーシップや指導力
・スケジュール管理をするための調整力や判断力
・トラブルを未然に防いだり、迅速に解決するための危機管理能力や問題解決力
・IT業界の場合は、担当するプロダクトや技術への深い理解
ディレクターは、企画やプロジェクトを円滑に進めるための現場管理能力が必要です。プロジェクトを通して関わりのある人が、どのようにしたらうまく仕事が回るのか、進捗を妨げている原因は何か、何が問題で根本的な解決をするにはどうすればよいのかなど、人・物・時間への意識が、特に重要になるでしょう。
ディレクターの能力も、すぐに身につくものとは考えづらく、業界や企業によっては、すぐにディレクターに近い役割を持つ仕事が割り振られる可能性もありますが、しっかりとした研修をおこなったり、プロジェクト内の一部の仕事を経験してから、ディレクターを任されることが多いかと思います。
プロデューサー・ディレクターの年収相場
各職種の平均年収を複数のデータに基づいてご紹介します。
プロデューサーの平均年収
広告業界のプロデューサーの平均年収は求人ボックスによると約583万円、転職会議によると約498万円となっています(2025年7月時点)。
また、WEBプロデューサーの平均年収は求人ボックスによると約466万円、転職会議では約432万円、マイナビAGENTでは約446万円となっています(2025年7月時点)。
弊社R-Stoneでは、プロデューサーの平均年収は約920万円となっており、約750万円〜1200万円のレンジとなっています。
ディレクターの平均年収
広告業界のディレクターの平均年収は求人ボックスによると約510万円、転職会議によると約354万円となっています(2025年7月時点)。
また、WEBディレクターの平均年収は求人ボックスによると約499万円となっています(2025年7月時点)。
弊社R-Stoneでは、ディレクターの平均年収は約859万円となっており、約580万円〜1800万円のレンジとなっています。
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なお、WEBディレクター職をもっと詳しくお知りになりたい方は下記記事も参考になさってください。1つ目の記事は、WEBディレクターの年収をさらに詳しく解説するとともに、高収入を目指していく方法を解説しています。2つ目の記事は、WEBディレクターの基本情報の他に、転職に必要なスキルやおすすめのキャリアプランなどを解説しています。
関連記事:WEBディレクターの年収は低いって本当?収入アップする方法を解説
WEBディレクターに転職するには?仕事内容・面接対策をご紹介
まとめ
- プロデューサーは、企画を含むプロジェクトの全体管理や全体責任を負う役職
- ディレクターは、企画をもとにしたプロジェクトの現場管理や責任を負う役職
との違いがあります。しかし、両者の役割の違いは、企業やプロジェクトによって変わることがあり、本稿はあくまで一般論としてご理解ください。
プロデューサーもディレクターも、仕事の内容としては多岐に渡る能力が求められるため、目指す前に、しっかりとした計画を立てることをおすすめします。また、業界によって、異なる能力や知識が必要なため、プロデューサーやディレクターを目指す場合には、最初の業界選択で大きく内容が変わります。業界を跨いで、プロデューサーやディレクターになることもできるでしょうが、希望する新しい業界と既存の業界との親和性や、個人の能力が重視されることになるでしょう。
就職や転職をする際は、自分の好きなことと、仕事内容が合致しているかどうか、給与や労働時間などの勤務条件はどうか、一般的なキャリアアップの方法はどうなっているのかなど、検討するべきことも多くなります。後悔のない選択をするためにも、まずはたくさんの情報に触れることをおすすめします。



