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転職コラム

ホワイトハッカーとは​?重要性と役割、必要な資格を徹底解説

「ホワイトハッカー」という言葉をご存知でしょうか? ハッカーと聞くと「ハッカーによる攻撃により、企業のサーバーがダウンしました」などというネガティブなニュースを思い出す方も多いかと思います。しかし、それらは「悪意のあるハッカー」がもたらしているイメージで、そもそもハッカーという言葉はネガティブなものではありません。

 

この記事では、情報セキュリティを守る「ホワイトハッカー」に関する情報をまとめています。ハッカーのそもそもの意味やホワイトハッカーの業務内容などもわかりやすく解説していますので、ぜひとも最後までご確認ください。

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  1. ホワイトハッカーとは

ホワイトハッカーとは、コンピューターのシステムやプログラム、ネットワークなどに対する高度な知識を持ち、サイバー攻撃などへのセキュリティ対策を講じるために、自身の持っている能力を善良で健全な目的のために活かすハッカーのことをいいます。

 

現在では、国や企業の情報の多くがITシステムで管理されているため、それらを守るためにはセキュリティに対する深い知識が必要です。情報セキュリティの専門家であるホワイトハッカーの需要は年々高くなってきており、セキュリティ人材の年収なども上がってきています。

 

また、ホワイトハッカーのことを「ホワイトハット」と呼ぶこともあり、ホワイトハッカーと「セキュリティエンジニア」を同義のものとして扱うこともあります。ホワイトハッカーとセキュリティエンジニアに明確な定義の差はありませんが、セキュリティエンジニアが職業名なのに対し、ホワイトハッカーはあくまで「セキュリティ関連のプロフェッショナルを表す敬称」とされることもあります。

 

  1. そもそもハッカーとは?

「ハッカー」と見聞きすると、パソコンなどを使って悪事をおこなう人を思い浮かぶ方が多いかと思います。しかし、ハッカーのそもそもの定義は英語の【Hack|たたき切る、うまくやり抜く、耐える、解決する】であり、「雑な作業だがうまい具合に間に合わせの仕事をする人」「斧一つで家具を作れる職人」などの意味で「ハッカー」という言葉は英語圏の方々のなかで日常的に使われていました。

 

そのようなニュアンスを持ったハッカーという言葉が次第にコンピューター業界でも利用されるようになり、コンピューター業界では「雑で素早い作業ながらよい仕事をする人」「少ない努力で大きな成果を上げるコンピューターのエキスパート」のような意味を持つ言葉になりました。

 

しかし、ハッカーと呼ばれるほどのスキルを持った一部の人がコンピューターやネットワークの脆弱性をついて悪意のある行動、犯罪行為をするようになり、ハッカーという言葉が悪い意味を持つ言葉として伝わってしまった経緯があります。

 

ハッカーはそもそも悪い言葉ではなく、「コンピューターなどについて高度で専門性の高い知見を持つ人」のことです。また、「ハッキング」も悪い意味を持つ言葉として一般的にはとらえられていますが、ハッキングは「コンピューターの知識を持った人が、コンピューターに関連するシステムを検証したり改良したりすること」を指します。現在では、これらのような誤用が広まってしまったため、悪意のあるハッカーを「ブラックハッカー」と呼ぶことが増えてきています。

 

  1. ブラックハッカーとの違い

ホワイトハッカーとは逆に、ブラックハッカーは自身の知見を悪事に利用するハッカーのことです。具体的には、データベースを不正操作して情報の改ざんや窃取をする「SQLインジェクション」、WEBサイトやサーバーに負荷をかけて利用できなくする「DoS攻撃」や「DDoS攻撃」、発覚した脆弱性が回復する前に攻撃をする「ゼロデイ攻撃」などがあります。

 

ホワイトハッカーは「ハッカーとしての知見を善良な行動に移す人」、ブラックハッカーは「ハッカーとしての知見を邪悪な行動に移す人」という違いがあります。また、ブラックハッカーのことを「クラッカー」と呼称することもあります。

 

  1. ホワイトハッカーの役割と重要性

現在では、IT関連のシステムやネットワークを利用しないと社会が回らないといっても過言ではありません。国や企業は大切な情報をそれらのシステム内に保存しているため、ホワイトハッカーのように不備や脆弱性がないかを確認し、ブラックハッカーからの攻撃や意図せぬ情報流出などへの対策を講じられる人材が求められています。

 

ホワイトハッカーに求められる役割は重要性を増しており、求人情報を見ると大手企業のグループ会社などでも積極的に募集をかけている状態で、年収も高い傾向があります。今後もIT業界は加速度的に進化していくことが予想されますので、セキュリティに関する知見を持ったホワイトハッカーは、国や企業にとってますます需要が高くなる人材だといえるでしょう(2023年5月時点)。

 

  1. ホワイトハッカーの業務内容

ホワイトハッカーの業務内容を4つお伝えします。

 

  1. クライアントへの報告・企画提案

ホワイトハッカーは、WEBサイトやWEBアプリケーション、サーバーやネットワークなどのセキュリティ検証や対策について調査をし、依頼を受けたクライアントへの報告や企画提案をおこないます。所属している企業によっては独自のセキュリティツールを用意しているところもあり、「クライアントのビジネスにどのような不利益があるか」「リスクの程度はどのくらいが想定されるのか」などを報告し、クライアントが望む対策を実現させます。

 

また、クライアントが専門用語やセキュリティリスクについて正しく認識しているとは限りません。そのため、ホワイトハッカーはわかりやすく状況を説明し、どういった対策が適切なのか、納得してもらえるように努めなければなりません。

 

  1. セキュリティシステムの設計

セキュリティ検証をしてリスクが見つかった際は、ホワイトハッカーがクライアントのセキュリティシステムを設計し、実装することもあります。また、ホワイトハッカーがセキュリティ検証をするものは多岐に渡るため、ITインフラやネットワーク、プログラムの構築スキルなども必要です。

 

ITシステムを成り立たせるためには、フロントエンドとバックエンド、サーバー、データベース、ネットワーク、OSなどの知識が不可欠で、ハードウェアとソフトウェアの違いもあります。これらに対応するためには幅広い知識が必要になり、最新の攻撃手法などへの理解も不可欠です。セキュリティの精度を上げるためには複合的な知識が必要になるため、クライアント側も情報セキュリティに強い企業などに対策をお願いすることが多くなっています。

 

  1. 脆弱性の確認作業

「クライアントへの報告」には脆弱性の確認結果も含みます。脆弱性とは、WEBアプリケーションやネットワークなどのコンピューターに関するシステム全般で、予期せぬ不具合が発生していたり、設計上のミスが放置されている状態のことを指します。このような状態のシステムは、ブラックハッカーからの攻撃や情報漏洩などのリスクが高くなっていることになり、ホワイトハッカーが確認をした際は対策を講じることになります。

 

脆弱性の確認方法には、システムの脆弱性を洗い出す「脆弱性診断」、ブラックハッカーの視点からシステムに擬似攻撃をして耐久性をテストする「ペネトレーションテスト」などがあります。また、人間の手で調査をするものを「手動診断」、ツールを利用して調査するものを「自動診断」といいます。

 

  1. セキュリティシステムの保守・運用

構築したセキュリティシステムの保守と運用もホワイトハッカーの仕事です。ITシステムはいつ不具合が起こるかわかりません。そのため、常に監視をし、問題が発生した場合はすぐに対処する必要があります。また、新しい攻撃手法などが生まれてしまった際はセキュリティ対策を付け加えたり、ソフトウェアの場合はアップデートなどもしなくてはなりません。

 

  1. ホワイトハッカーに必要な資格

ホワイトハッカーになるために必要な資格はありません。また、求人情報ではシステムやセキュリティに関する基礎知識程度のスキルを求めているものが多くなっています。そのため、資格なしでも基礎知識があれば、ホワイトハッカーやセキュリティエンジニアとして応募可能です。

 

しかし、今回紹介する2つの資格は高難易度資格として一般的に認識されているので、資格を取得することでよりよい条件の企業へ就職や転職がしやすくなることが考えられます。スキルアップやキャリアアップを考える方は、以下の資格への挑戦も考えてみてください。

 

  1. CEH(認定ホワイトハッカー)

CEH(Certified Ethical Hacker)とは、情報セキュリティやeビジネス(業務工程の電子化)などのスキルを認定するEC-Council International(電子商取引コンサルタント国際評議会)が認定する資格で、日本では「認定ホワイトハッカー」という名前で認知されています。

 

認定ホワイトハッカーは国際的な資格となっており、米国国防省では情報を扱う人材への取得が義務付けられているものです。こちらの資格の特徴は、知識とスキル以外にハッキング手法の習得を目的としている点で、ブラックハッカーの手法を知ることでセキュリティ防御が効率化されると公式サイトでは説明されています。

 

英語と日本語のどちらかで受験できますが、日本語で受験をするには認定ホワイトハッカーが指定している講座の受講が必要です(英語試験の場合、2年以上の情報セキュリティ経験があれば受講なしで受験可能)。また、受験講座を受けるためにはCCNAレベルやLPIC Level1程度の知識などが必要とされているため、セキュリティ関連の業務に従事している方がスキルアップを目指すために受けるような資格試験となります。

 

資格試験に合格して認定を受けたあとは3年間の更新制となっており、①80ドルの年会費を払う②120ECEクレジットを3年以内に取得する、ことによって認定期間を延長できるようになっています。

 

※参考:CEH(認定ホワイトハッカー)|EC-Council公式トレーニング

 

  1. 情報処理安全確保支援士

情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)とは、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が主催をする情報セキュリティに関する国家資格です。IPAは試験難易度別にスキルレベル1〜4と区分していますが、情報処理安全確保支援士は最難関のスキルレベル4に該当します。

 

また、試験合格者は「情報処理安全確保支援士制度」に登録することで、IT系では唯一「士業」として名乗ることができるようになります。士業とは、弁護士や税理士などの専門性の高い職業のことをいいますので、情報処理安全確保支援士に合格した方は情報セキュリティ関連の高度な知識やスキルが認められ、評価されることは間違いないかと思います。

 

※参考:情報処理安全確保支援士(登録セキスペ) | デジタル人材の育成

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  1. ホワイトハッカーになるためには?

ホワイトハッカーになるための道筋を3つお伝えします。

 

  1. 大学や専門学校でセキュリティについて学ぶ

高校生でホワイトハッカーになりたいと考えている方は、情報系の大学か専門学校に進学してください。情報系の大学や専門学校では、ホワイトハッカーやセキュリティエンジニアに特化した学科を設けているところがありますので、通常の情報学部よりも専門性の高いセキュリティの授業を受けることができるでしょう。

 

また、学校を卒業したあとは就職をすることになるかと思いますが、大手企業などでは専門学校卒を採用していないケースも見受けられます。大手企業への就職も検討したい方は、大学のセキュリティ学科などに進学することをおすすめします。

 

  1. エンジニア職として就職し知識をつける

就職当初はセキュリティ関連の知識を持っていなくても、エンジニアとして企業で働きながら知識をつけ、ホワイトハッカーやセキュリティエンジニアになることも可能です。同じ会社でのジョブチェンジは会社の状態や規則によりますが、転職ならば、条件を選ぶことですぐにホワイトハッカーとして働くことも可能でしょう。

 

また、ホワイトハッカーやセキュリティエンジニアを募集している企業では、エンジニアとしての経験のみを必須条件にしているところもあります。それらの企業の求人はポテンシャル採用となり、転職後にホワイトハッカーなどの教育をしていくと明記されているものもあります。セキュリティ人材のみならず、エンジニア自体の人材も不足していますので、なるべく早くホワイトハッカーになりたい方は求人情報をよく調べてみてください。

 

  1. 既卒で未経験ならエンジニアへの転職から始める

既卒で未経験の方の場合、エンジニアとして転職できるように活動や勉強を始めていきましょう。20代の方は、エンジニア未経験でも採用している企業が多くあります。ホワイトハッカーやセキュリティエンジニアとして募集をしている求人もありますので、積極的に転職活動をしてみてください。。

 

30代以降の場合、未経験可の求人は少なくなります。エンジニアとしての勉強をし、資格を取ったりポートフォリオを作成したりして、転職できるように行動しましょう。

 

エンジニアとしての勉強は、独学とスクールに大きく大別されます。そのなかでも、筆者は職業訓練校での勉強を最もおすすめします。職業訓練校は行政から給付金をもらいながら、基本的に無料で勉強ができる制度です。自治体によって条件などが異なりますので、気になった方はぜひとも調べてみてください。

 

※参考:職業訓練のご案内 | 東京ハローワーク

 

  1. ホワイトハッカーの平均年収

ホワイトハッカーという呼称での平均年収の資料はありませんでした。しかし、厚生労働省が管理をする職業情報提供サイトの「jobtag」ではITセキュリティ系の職業の平均年収が公開されています(この項目の情報はすべて2023年5月時点のものです)。

 

セキュリティエキスパート(情報セキュリティ監査)……579.8万円

セキュリティエキスパート(オペレーション)……534.6万円

セキュリティエキスパート(脆弱性診断)……534.6万円

セキュリティエキスパート(デジタルフォレンジック)……534.6万円

 

加えて、求人ボックスの情報では、ホワイトハッカーとほぼ同義であると説明されるセキュリティエンジニアの平均年収は597万円となっています。

 

これら以外には平均年収に関する情報はありませんでしたが、ホワイトハッカーとしての求人情報では、年収400〜1,000万円前後のものが多くなっていました。また、弊社R-Stoneではセキュリティエンジニアとしての求人が19件あり、想定最低年収は370万円、想定最高年収は1,800万円、想定平均年収は約802万円となっています。

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  1. まとめ

「ホワイトハッカー」や「セキュリティエンジニア」の求人情報を調べてみると、大手企業のグループ会社が募集をしていたり、年収が高いものが多いことに気が付くと思います。これは、セキュリティ人材の需要があるにも関わらず、足りていない状態になっているからだと考えられます。

 

この記事のなかでもお伝えしましたが、IT業界は今後も進展し、将来も人材不足が懸念されています。そのため、現在でも不足しているセキュリティ人材は、需要超過が続いていくと予想できるのではないでしょうか。

 

ホワイトハッカーやセキュリティエンジニアへの就職や転職は、知識が不足している状態では基本的に難しいかと思います。しかし、ポテンシャル採用をしている企業であれば意外と早く転職できるかもしれませんし、時間をかけて勉強していけば、数年以内に転職することも可能だと思います。気になった方は情報を調べ、今からできる行動を積み重ねていきましょう。