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転職コラム

ハードウェアエンジニアとは?仕事内容と必要なスキルセットをご紹介

私たちが普段から利用している電子機器はハードウェアとソフトウェアから成り立っており、ハードウェアエンジニアの仕事は生活に身近なものであるといえるでしょう。この記事では、ハードウェアエンジニアの仕事内容や組み込みエンジニアとの違い、必要なスキルなどについてご紹介しています。ぜひともご確認ください。

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  1. ハードウェアエンジニアとは? 

ハードウェアについて確認をしてから、ハードウェアエンジニアについて説明をします。

 

  1. そもそもハードウェアとは?

ハードウェアとは、パソコンやスマートフォン、テレビ、洗濯機、冷蔵庫など、回路を利用する機器(コンピューター)の物体そのもの、形があり見ることができるものを指します。上述した電気機器以外にも、イヤホンやICチップ、CPU(中央演算処理装置)のような小さいものでもハードウェアと呼ばれます。

 

それに対して、MicrosoftのWindowsやWord、スマートフォンアプリのLINE、ICチップのデータの動きなど、ハードウェアのように実体がないがシステムとして動作し、コンピューターに何らかの処理をおこなわさせるものをソフトウェアといいます。

 

例えるとすると、ゲーム機本体がハードウェアでゲームソフトがソフトウェア、自動車のエンジンがハードウェアで自動運転機能がソフトウェア、身体がハードウェアで心や気持ちがソフトウェアともいえるでしょう。

 

  1. ハードウェアエンジニアはどんなエンジニア?

ハードウェアエンジニアとは、ハードウェア機器の設計や開発をおこなうエンジニアのことです。「ハードウェア」と一口にいっても、上述した機器以外に医療機器、産業ロボット、自動車部品、オフィス機器、半導体、観測装置などさまざまな種類があり、企業によって開発物が違うため、必要な知識が異なるという特徴があります。

 

また、ハードウェアエンジニアは製品や筐体などの構造設計をおこなう「機械設計エンジニア」と、回路や基板などの電子制御システムを設計する「電気設計エンジニア」に分かれます。

 

機械設計には、機械の外装のように機械自体に動作をともなわない、動かないモノを設計する「構造設計」と、モーターやロボットアームのように機械自体に動作をともなう、動くモノを設計する「機構設計」に分類されます。

 

電気設計には「回路設計」という工程があり、抵抗、コイル、コンデンサなどの受動部品を利用する「電気回路」と、ダイオード、トランジスタ、ICなどの能動部品を利用する「電子回路」に分かれています。

 

構造設計と機構設計では4大力学(材料力学・熱力学・流体力学・機械力学)に関する知識が必要になり、電気回路と電子回路では回路設計に関する知識などが必要になるため、構造設計と機構設計、電気回路と電子回路と分類されているものの、それぞれを設計・開発するための基盤となる知識は共通しています。

 

しかし、構造設計と機構設計のどちらかだけ、電気回路と電子回路のどちらかだけの知識があればいいわけではなく、機械設計エンジニア・電気設計エンジニアとして幅広く対応できる知識やスキルが求められます。

 

  1. ハードウェアエンジニアと組み込みエンジニアは違う職業

ハードウェアに関するエンジニアと聞くと、「組み込みエンジニア」という職業を想像する方も多くいらっしゃると思います。組み込みエンジニアの基本業務は、C言語やC++、Javaなどのプログラミング言語を利用して、「ハードウェアを動かすソフトウェアを開発する」ことです。

 

それに対してハードウェアエンジニアは、機械設計や電気設計などをおこない、「ハードウェア自体を開発する」ことが基本業務です。また、電子回路を制御するためには「ハードウェア記述言語(※1)」という言語が利用されるため、プログラミング言語で記述をする組み込みエンジニアとは、この点においても業務内容が異なります(ハードウェア記述言語で記述をせず、汎用品を利用して回路設計をすることも多い)。

 

しかし、ハードウェアとソフトウェアが合わさることで機器として作動することになるため、ハードウェアエンジニアがソフトウェア開発に携わることもあり、組み込みエンジニアがハードウェア開発に携わることもあります。そのため、両者は業務で共通する部分があるものの、ハードウェアとソフトウェアのどちらをメインの業務としているかの違いがあると認識してもよいかと思います。

 

※1:ハードウェア記述言語(Hardware Description Language|HDL・エイチ ディーエル)には、VHDL(ブイ エイチ ディーエル)とVerilogHDL (ヴェリログ エイチ ディーエル)がある。プログラミング言語にいろいろな種類があることと同じだが、VHDLとVerilogHDLにはさほど大きな違いはない。

 

  1. ハードウェアエンジニアの仕事内容

開発物や企業のやり方によって詳細は異なりますが、機械設計と電気設計の大まかな業務の流れは共通しています。ここでは、それぞれの仕事内容をお伝えします。

 

  1. 機械設計の仕事内容

機械設計の基本的な業務の流れは以下の工程となります。

 

①構想設計

開発するモノのコンセプトに基づいて、構造や仕様を決定します。耐久性やサイズ、どういった部品、どういった技術を利用するかなども決めて設計の基盤を作ります。

 

②基本設計

CAD(キャド)やCAM(キャム)などの製図や数値制御に関するツールを利用し、具体的な設計図を書いていきます。開発物が作成した設計どおりに動くのかを検証・修正し、問題がないことを確認します。

 

③詳細設計

基本設計で完成させた設計図を製品として完成できる状態にします。生産に入る前の工程になるため、金銭や時間などのコスト、環境保全などについても問題点を洗い出し、加工や仕様についてまとめます。

 

④生産設計

工場で生産するために、最終的な調整をおこないます。工場での工数についても問題がないかを洗い出し、可能であれば工数削減を実施します。

 

⑤評価・審議

完成した機器の評価をおこないます。想定どおりに動くのかを性能・安全・品質などの項目からチェックし、上層部に報告します。上層部からの許可が下りれば量産体制に入ります。

 

  1. 電気設計の仕事内容

電気設計のなかでも共通する部分が多い、「回路設計」の基本的な業務の流れを紹介します。

 

①構想設計

機械設計と同じく、開発物について必要なモノや要素は何なのか、どういった部品・技術を利用するかなどの構成を決めていきます。

 

②仕様書作成

製品全体の機能や詳細な仕様を決定していきます。電子部品の選定もこの工程に入り、仕様が決定したあとは簡単に修正することができなくなるため、抜け漏れがないように慎重におこないます。

 

③回路設計

電子部品をどのようにつなげ、回路にしていくかを設計していきます。回路図は手書きでも作成できますが、現在はCADツールを用いることが一般的です。回路図ができたら回路基板を作成し、機器や部品を使った製造の段階に移ります。

 

④動作確認・評価

回路基板の設計データをもとに試作品を作り、検証をします。電気信号の波形や熱、振動などの動作や性能、屋内外の利用も想定した確認をします。製品として製造できる段階まで検証と修正を繰り返し、問題がなければ量産に移行します。

 

機械設計と電気設計はハードウェアの設計になるため、製品リリース後に不具合が発生するとリコールや事故につながる可能性が高くなります。そのため、ソフトウェア開発よりも慎重かつ厳重にチェックがおこなわれるという特徴があります。

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  1. ハードウェアエンジニアにおすすめの資格

ハードウェアエンジニアになるために資格は必要ありません。また、ハードウェアエンジニアとして現役で働いている方の情報サイトなどでも資格は不要と説明されているものが多く見受けられます。しかし、資格は持っていて損になるものではなく、就職・転職活動においても客観的なスキルや知識の証明になります。

 

少しでも就職・転職活動で有利になるよう働きかけたい方や資格試験を通して体系的な知識を得たい方などは、資格取得を視野に入れて活動をしてもよいかと思います。ここでは、ハードウェアエンジニアにおすすめの資格を4つお伝えします。

 

  1. 品質管理検定

品質管理検定(QC検定)とは、「日本規格協会グループ(JSA GROUP)」が主催する品質管理に関する資格です。4級〜1級までレベルが分けられており、「⚪︎⚪︎ができる能力」に必要となる内容を定義づけ、品質管理に関する知識や改善能力を客観視できるように設定されています。毎年3月と9月に筆記試験が実施されます。

 

※参考:QC検定 | 日本規格協会 JSA Group Webdesk

 

  1. エンベデッドシステムスペシャリスト試験

エンベデッドシステムスペシャリスト試験(ES)とは、「IPA(独立行政法人情報処理推進機構)」が主催する国家資格で、最高難易度のスキルレベル4に該当します。IoTにも利用されるハードウェアとソフトウェアの組み合わせ、組み込みシステムに関する内容が出題されます。ハードウェアエンジニアとしてソフトウェア開発にも携わり、より専門性の高いエンジニアを目指す方におすすめの試験です。毎年10月に試験がおこなわれ、合格率が17%前後になっている難関資格です。

 

※参考:エンベデッドシステムスペシャリスト試験

 

  1. ITパスポート試験

ITパスポート試験とは、ハードウェア・ソフトウェアを問わず、エンジニアを目指す方に必要になる初歩的な知識が問われる国家資格で、IPAが主催をしています。専門性を高めるような試験ではありませんが、IT業界で必要になる基本知識が網羅されているので、エンジニアとしての知識の土台を作ることができるでしょう。スキルレベル1に該当し、合格率は50%前後、通年で受験できるようになっています。

 

※参考:【ITパスポート試験】情報処理推進機構 – IPA

 

  1. Iotシステム技術検定

IoTシステムについての知識やスキルを認定する資格で「モバイルコンピューティング推進コンソーシアム」が主催をしています。基礎・中級・上級にレベル分けがされており、基礎はIoTの基礎知識、中級はIoT構築の基本技術、上級は高度な専門技術が問われます。それぞれのレベルによって試験期間が異なりますが、年に2回実施されている資格試験です。NTTドコモやKDDI、ソフトバンク、楽天などの企業が本試験を推薦しており、IoTに関する開発をしたい方に向いている資格です。

 

※参考:検定 | MCPC モバイルコンピューティング推進コンソーシアム

 

  1. ハードウェアエンジニアに必要なスキルセット

ハードウェアエンジニアに必要なスキルを3つお伝えします。

 

  1. ハードウェアに関する知識

機械設計と電気設計では専門的な知識が必要になります。そのため、未経験者がハードウェアエンジニアにいきなり転職することは難しくなり、大学の工学部や機械設計・電子設計の知識を学べる専門学校を卒業することが一般的な就職までの道筋です。

 

また、近年販売されている製品はIoTが多くなってきているので、ハードウェアだけではなく、ソフトウェアについての知識があると重宝される人材となるでしょう。ただし、大手企業などは大卒者のみ応募可能な求人情報も見受けられるため、専門学校へ進学をする方は大学院に行くことも視野に入れる必要があります。

 

  1. コミュニケーション力

ハードウェアエンジニアが設計・開発をする製品は基本的にチームを組んで工程が進んでいきます。また、動作確認をしたあとの評価や審議では、上層部にプレゼンテーションをおこなう企業もあり、クライアントがいる仕事ではクライアントへの説明も必要になってきます。ハードウェアエンジニアは技術職という認識も強いかと思いますが、業務中はもとより社内外の方とも接する機会がある職業になっているため、コミュニケーション力も重要なスキルとなります。

 

  1. 英語能力

求職情報を調べていると、英語能力について言及しているものが多く見受けられます。企業が取り扱う製品にもよりますが、英語圏の企業と取引をしたり、海外ベンダーの製品を利用したりする機会が多くあるようです。英語能力は必須スキルではありませんが、就職や転職の求人で英語能力の条件を定めている企業は年収が高い傾向があります。よい条件で働くことを希望する方、キャリアアップを考える方は英語能力も身につけていたほうがよいでしょう。

 

  1. ハードウェアエンジニアに向いている人

力学や仕組みについての深い理解が必要なため、自然法則に興味のある方やものづくりが好きな方に向いている仕事です。製品開発については、既存製品だけでなく新製品の開発もおこなわれるため、創造性のある仕事をしたい方にも向いている仕事といえます。

 

また、企業によってはハードウェアだけでなくソフトウェアにも携わることができるので、ものづくりの幅を広げていくことも可能です。ハードウェア自体は技術改革のスピードが緩やかな傾向がありますが、IoTなどで利用するソフトウェアは技術革新のスピードが速い傾向があるので、好奇心が旺盛な方は楽しみながら仕事ができるのではないでしょうか。

 

  1. ハードウェアエンジニアの将来性

厚生労働省が管轄し、職業情報を提供している「job tag」の情報では、機械設計技術者の平均年収は606.2万円、電子機器技術者の平均年収は644.5万円、半導体技術者の平均年収は644.5万円となっています。

 

ソフトウェア開発のエンジニアである、プログラマーとシステムエンジニアの平均年収は550万円となっているため、job tagの調査ではハードウェアエンジニアのほうが平均年収が高いことになります。

 

※参考:機械設計技術者 – 職業詳細 – Job Tag

             電子機器技術者 – 職業詳細 – Job Tag

     半導体技術者 – 職業詳細 –  job tag

     システムエンジニア(Webサイト開発) – 職業詳細- job tag

 

年収から考えると、ハードウェアエンジニアの需要は現在でも高い状態にあると判断できます。また、私たちの身の回りにある電化製品のすべては、ハードウェアとソフトウェアが組み合わさって製品化されています。ハードウェア業界の市場はとても広く、IoTの発達も相まってハードウェアの高性能化も期待されているため、エンジニア業種のなかでも将来性が高い分野であるといえるでしょう。

 

  1. まとめ

ハードウェアエンジニアがソフトウェア開発に携わることもありますが、基本的にはハードウェアそのものを開発するエンジニアであると認識しておきましょう。また、ハードウェアエンジニアは、「機械設計エンジニア」と「電気設計エンジニア」に分かれることも押さえておきたいポイントです。

 

専門的な知識が必要になるため、高校卒業後の進路選びが大切になる職業です。基本的には就職・転職をするための訓練が必要であると覚えておきましょう。最近では、「ChatGPTなどのようなAIの台頭によってプログラミングの工程に変化が訪れるのではないか」と予測されることも多くなってきました。しかし、ハードウェアエンジニアの仕事はエンジニアが手を動かして回路や基盤を作っていくため、AIに仕事を奪われることは考えにくいといえます。ハードウェアエンジニアに興味のある方は積極的に情報を集め、希望の進路を実現できるように行動していってください。