コンサルタントが転職前に確認すべきこと
コンサルタントと言えば、「高年収」のイメージが強い職種。実力・スキルがある人なら年代を問わず、年収1,000万円超えを目指すことができます。従来、コンサルタントとして働くには、MBAホルダーや一流大学卒などの条件があり狭き門だと言われていましたが、現在は門戸が開かれており、資格や卒業大学にかかわらず有能な人材は採用されるようになっています。そのため、より良い給与・待遇を目指して転職するコンサルタントも多くいますし、未経験からコンサルタント職を目指す人も増えています。
今回はコンサルタントの種類や、転職時に求められるスキルや資格、平均年収などについて解説していきます。
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コンサルタントの種類~転職で別の領域のコンサルタントになる人も~
コンサルタントは実に様々な種類があり、コンサルタントとして働いている人でも業界全体を把握している人は少ないかもしれません。業界や業務の数だけコンサルティング領域があると言っても過言ではありませんが、シンプルに分類するなら以下のようになります。
- ・総合コンサルタント
- ・戦略コンサルタント(M&Aコンサルタント、事業再生コンサルタント、新規事業コンサルタントなど)
- ・ITコンサルタント
- ・業務(業務改革)コンサルタント
- ・特化型コンサルタント(業界特化型コンサルタント、業務・ソリューション特化型コンサルタント)
それぞれのコンサルタントについて解説していきましょう。
総合コンサルタント
総合コンサルタントは、企業の課題を解決するために戦略立案などの上流工程から、システム導入やアウトソーシングといった下流工程まで幅広いコンサルティングを提供するコンサルタントのことです。
特定の領域に限らず、戦略、業務、IT、人事、財務などトータルなコンサルティングをおこなうのが特徴で、基本的には、業界別や業務別に特化した複数のコンサルタントがチームを組んで対応します。総合コンサルタントのクライアントはほとんどが大企業なので、大規模な案件に携わるケースが多くなります。
戦略コンサルタント
戦略コンサルタントは、企業の経営課題を抽出したうえで課題解決のための戦略を立案し、その戦略を遂行するコンサルタントのことです。一般的には、企業の経営層から事業計画や新規事業などに関する相談を受け、それに対して最適な戦略を提案し、その戦略を実行していきます。
コンサルティング領域は、企業全体の経営方針や事業計画に関わることから会計・人事などの専門分野まで様々。代表的な戦略コンサルタントである、M&Aコンサルタント、事業再生コンサルタント、新規事業コンサルタントについて簡単にご説明します。
M&Aコンサルタント
M&Aコンサルタントは、M&Aに特化したコンサルティングをおこなうコンサルタントです。M&Aに関する相談を受け、M&Aの実行に向けた調査・交渉や成約後の統合などをおこないます。最近は、M&Aだけにとどまらず、M&A後の戦略立案や業務構築、IT活用などのコンサルティングまで提供することもあります。
事業再生コンサルタント
事業再生コンサルタントとは、事業再生に特化したコンサルティングをおこなうコンサルタントです。経営危機に瀕しているクライアントを健全な経営状態へと導いていくのが、最大のミッションとなります。
新規事業コンサルタント
新規事業コンサルタントとは、新規事業開発に特化したコンサルティングをおこなうコンサルタントです。クライアントのプロジェクトチームに参画して新規事業開発に取り組み、戦略策定から見込顧客の開拓、アライアンスやM&Aの調査・交渉などをおこないます。
ITコンサルタント
ITコンサルタントは、クライアントの業務課題を抽出し、その課題をITシステムによって解決するコンサルタントです。業務課題を解決できるシステムの設計・開発を支援します。システムの種類としては、財務・会計、人事・給与、顧客管理、販売・在庫管理、購買管理、生産管理など様々です。
業務(業務改革)コンサルタント
業務(業務改革)コンサルタントは、クライアントの業務プロセス改善のためのコンサルティングをおこなうコンサルタントです。
企業活動は、販売、購買、経理、生産管理、人事、総務など、様々なプロセスから成り立っています。業務(業務改革)コンサルタントは、これらのプロセスから無理・無駄を排除することで、企業活動をより効率的に回していく支援をおこないます。そのために業務フローを分析し、業務プロセス上の課題を洗い出し、課題解決のための提案をしていくのが主な仕事です。
特化型コンサルタント
特化型コンサルタントとは、特定の業界や特定の業務・ソリューションに特化したコンサルタントのことです。業界特化型と、業務・ソリューション特化型に分けてご説明します。
業界特化型コンサルタント
業界特化型コンサルタントは、特定の業界のクライアントに専門的なコンサルティングを提供するコンサルタントです。製造、金融、小売・流通、医療・ヘルスケア、製薬、自動車、化学・素材、エネルギー・環境、不動産、通信・メディア、官公庁・地方自治体など、近年は様々な業界に特化したコンサルタントが活躍するようになっています。
業務・ソリューション特化型コンサルタント
業務・ソリューション特化型コンサルタントは、特定の業務・ソリューションに特化してコンサルティングを提供するコンサルタントです。代表的なところでは、組織人事や財務会計、リスクやマーケティングなどが挙げられます。その他、プロジェクトマネジメントやブランディング、アウトソーシングなど、幅広い業務をカバーしています。
コンサルタントの転職に必須のスキルとは?
コンサルタントとして活躍するには、コミュニケーションスキルや論理的思考力、プレゼンテーションスキルやネゴシエーションスキル、リーダーシップや語学力など様々な能力が求められます。そのなかでも、非常に重要度が高いのがコミュニケーションスキルと論理的思考力です。この2つのスキルが不十分だと判断されれば、転職活動で内定をもらうことはできません。それぞれについて簡単にご説明しましょう。
コミュニケーションスキル
コミュニケーションスキルとは、相手と意思疎通を図る能力のこと。特にコンサルタントにとって重要なコミュニケーションは、クライアントの意図や要望、悩みを正確に把握することだと言われます。
コンサルタントが企業の課題を解決に導く仕事である以上、クライアントの悩みや課題を正しく把握することができなければ仕事になりません。クライアントは常に自社の課題を認識しているとは限りませんし、何となく課題を認識できていても、それをうまく言語化できないこともあります。このような場合に「いかにクライアントの課題・悩みを汲み取れるか」は、コンサルタントにとって非常に重要なスキルだと言えます。
また、コンサルタントの業務は必ずプロジェクトチームを組んで進めていきます。プロジェクトメンバー同士の人間関係を円滑にして一体感を醸成するという意味でも、コミュニケーションスキルは重要になってきます。
論理的思考力
論理的思考力(ロジカル・シンキング)は、コンサルタントとして極めて基本的な能力です。選考過程で論理的思考力を測る筆記テストをおこなうコンサルティング会社もありますし、新卒でコンサルティング会社に入社すると研修でみっちりと論理的思考力を叩き込まれます。そのくらい論理的思考力はコンサルタントに欠かせない能力ということです。
実際に、クライアントの課題をヒアリングする際や戦略を立案・提案する際、問題が生じて原因を分析する際や報告書を作成する際など、コンサルタントのあらゆる業務において論理的思考力が役立ちます。経験や勘ばかりに頼っていては、コンサルタントとして質の高い仕事はできません。一流のコンサルタントはみな、物事を論理的に考え抜くことでベストな判断を下しているものです。
コンサルタント転職に有効な資格とは?
資格がなければコンサルタントとして転職できないわけではありませんが、実績やスキルが似通った応募者と比較されたとき、資格を持っていたほうが有利になります。コンサルタントが転職する際に、プラスの評価をされる資格をいくつかご紹介します。
MBA
コンサルタントにとって定番中の定番の資格がMBAです。MBAは「Master of Business Administration」の略で、日本語では「経営学修士」と訳されます。厳密に言うと、MBAは資格ではなく学位です。
MBAを取得するためには、ビジネススクールの専門課程で2年間、経営について学ぶ必要があります。経営戦略やマーケティング、会計や財務、組織論や起業論、イノベーションなど経営に関する幅広いテーマを体系的に学習します。MBAは数多くのコンサルティング会社・コンサルファームで評価される資格であり、MBAホルダーは転職でも有利になると言われています。
IT系資格
昨今の企業経営においては、ITやWebの活用が不可欠なものになっています。そのため、ITストラテジスト試験やプロジェクトマネージャ試験、ITサービスマネージャ試験、ITコーディネータなどの資格を持ったコンサルタントは転職に有利になります。特に、ITコンサルタントを目指すのであれば、このあたりの資格は取得しておいたほうが良いでしょう。
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TOEIC
コンサルタント業界では一般的に英語による実務能力が重視されますが、どんなコンサルティング会社に転職するかによって必要な英語力は変わってきます。国内プロジェクトが多いコンサルティング会社であれば英語力はそこほど重視されませんが、戦略系コンサルタントなどは海外案件が多いので、TOEICもハイスコアが求められます。
いずれにせよ、TOEICで一定以上のスコアを保有しておくことで英語を使えない応募者との差別化を図ることができ、転職で有利になります。
公認会計士・税理士・中小企業診断士
公認会計士や税理士、中小企業診断士など、いわゆる「士業」の資格を持っていると、良い条件でコンサルティング会社に転職できます。なかでも、中小企業診断士は経営コンサルタント業務に関する唯一の国家試験としておすすめです。中小企業診断士の資格を持っていれば、中小企業に対し適切な成長戦略を立案するうえで必須となる幅広い知識を有していることの証明になります。
ただし、いずれも難易度の高い資格なので、働きながら資格取得を目指すのであればある程度の長期戦を覚悟しておく必要があるでしょう。
コンサルタントの平均年収はどのくらい?
2020年12月にdodaが公開している平均年収ランキングをもとに、各種コンサルタントの平均年収をご紹介します。
ピックアップしたのは、戦略/経営コンサルタント、業務改革コンサルタント、リスクコンサルタント、組織/人事コンサルタント、会計コンサルタント、ITコンサルタントです。上述したコンサルタントの種類(呼称)とは異なるところもありますが、それぞれ以下のような数字が出ています。
戦略/経営コンサルタントの平均年収
戦略/経営コンサルタントの平均年収は「724万円」となっています。性別・年代で見ると以下のとおりです。
男性の平均年収 | 758万円 |
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女性の平均年収 | 607万円 |
20代の平均年収 | 573万円 |
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30代の平均年収 | 878万円 |
40代の平均年収 | 1,019万円 |
50代の平均年収 | 994万円 |
業務改革コンサルタントの平均年収
業務改革コンサルタントの平均年収は「688万円」となっています。性別・年代で見ると以下のとおりです。
男性の平均年収 | 717万円 |
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女性の平均年収 | 601万円 |
20代の平均年収 | 545万円 |
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30代の平均年収 | 771万円 |
40代の平均年収 | 1,019万円 |
50代の平均年収 | 994万円 |
リスクコンサルタントの平均年収
リスクコンサルタントの平均年収は「668万円」となっています。性別・年代で見ると以下のとおりです。
男性の平均年収 | 705万円 |
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女性の平均年収 | 599万円 |
20代の平均年収 | 514万円 |
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30代の平均年収 | 745万円 |
40代の平均年収 | 895万円 |
50代の平均年収 | 811万円 |
組織/人事コンサルタントの平均年収
組織/人事コンサルタントの平均年収は「575万円」となっています。性別・年代で見ると以下のとおりです。
男性の平均年収 | 626万円 |
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女性の平均年収 | 474万円 |
20代の平均年収 | 463万円 |
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30代の平均年収 | 602万円 |
40代の平均年収 | 718万円 |
50代の平均年収 | 807万円 |
会計コンサルタントの平均年収
会計コンサルタントの平均年収は「567万円」となっています。性別・年代で見ると以下のとおりです。
男性の平均年収 | 592万円 |
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女性の平均年収 | 487万円 |
20代の平均年収 | 431万円 |
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30代の平均年収 | 689万円 |
40代の平均年収 | 712万円 |
50代の平均年収 | 633万円 |
ITコンサルタントの平均年収
ITコンサルタントの平均年収は「584万円」となっています。性別・年代で見ると以下のとおりです。
男性の平均年収 | 609万円 |
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女性の平均年収 | 511万円 |
20代の平均年収 | 471万円 |
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30代の平均年収 | 625万円 |
40代の平均年収 | 787万円 |
50代の平均年収 | 843万円 |
※出典:【163の職種別】平均年収ランキング 最新版 |転職ならdoda(デューダ)
未経験でもコンサルタントに転職できる?
ここ数年、日本のコンサルティング市場は成長を続けており、それに比例するようにコンサルタントの数も増加しています。コンサルタントの数が増えているということは、これまでコンサルタントでなかった人がコンサルタントになっているということです。ここには当然、新卒者も含まれますが、未経験者が中途採用でコンサルタントに転身するケースも増えています。
ここまでの説明だけを聞くと、「未経験者でもコンサルタントになれる」と思われるかもしれませんが、そんなに甘い世界ではありません。コンサルティング会社・コンサルファームの商品はコンサルタントという「人材」であるわけで、応募者には豊富な経験や高度なスキルが求められます。逆に言えば、特定の領域で豊富な実績を重ねたスキルの高い人なら、未経験でもコンサルタントに転職できる可能性はあります。
一つの例ですが、SE(システムエンジニア)からITコンサルタントに転身するパターンは少なくありません。ITシステムを活用してクライアントの課題を解決するという意味では、SEの仕事とITコンサルタントの仕事は共通する部分があります。ITコンサルタントとして活躍するには、クライアントの業界知識や経営に関する知識も必要になりますが、SEとして豊富なシステム開発実績がある人なら、ITコンサルタントとして活躍できる可能性は十分にあるでしょう。
現職・前職でこのような経験・実績がない人は、やはり資格を取得するのがコンサルタントへの近道になるでしょう。ただし、コンサルタントになる手段として資格を取得するのは、あまりおすすめできません。第一に「コンサルタントとしてこんな仕事がしたい」「コンサルタントとしてこんなキャリアを歩みたい」といった目的があって、それを実現するために資格を取得するのが本筋です。面接の際に、自身のビジョンやキャリアプランも交えながら資格取得のストーリーを伝えられれば、コンサルタントとして採用される道も開けるでしょう。
コンサルタントが転職前に確認すべきことの【まとめ】
コンサルタントは求人需要の高い職種ですが、だからと言って、独力で転職を成功させるのは簡単なことではありません。コンサルタントとして理想の転職をしたいなら、転職エージェントを味方につける必要があります。
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