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転職コラム

CxOとは?役割とCEO・COO・CFOとの違いを徹底解説

「CxO」という言葉をご存知でしょうか? ニュースなどでよく見聞きする「CEO」はCxOの役職の一つであり、CxOにも多くの種類があります。この記事では、CxOについての説明や執行役員、取締役との違い、CxOの種類について記載しています。会社法の条文などを用いて具体的な解説もしていますので、ぜひとも最後までご一読ください。

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  1. CxOとは?

CxO(シーエックスオー)のCは【Chief|組織・集団の長、最高権力者】、xは【役割や業務の当てはめ|最高経営責任者の場合はCEOのE、最高執行責任者の場合はCOOのOなど】、Oは【Officer|役員、幹部、役人】を表す経営用語で、日本語では「最高⚪︎⚪︎(x)責任者」と訳されます。1980年代からアメリカでCxOという役職名が利用されるようになり、日本では1997年にSONYがCxOの役員制度を導入したことから始まりました。

 

CxOは日本の会社法によって定められている役職ではないため、企業は自由に役職を用意しCxOを任命することができます※。CxOのメリットとしては、役職ごとに役割を分担するためものごとの判断や実行の速度が早い、責任範囲が明確になる、経営と執行を分離することができる、などがあります。

 

※注釈:取締役会を設けている株式会社で会社法に接触する役職の場合を除く

 

  1. CxOが日本で広まっている背景

SONYがCxOの役員制度を採用してから、他の日本企業もCxOを導入する動きが浸透していきました。また、東京証券取引所がコーポレートガバナンス(企業統治|企業内での不正等を防ぎ、公正透明な経営をおこなうための仕組み)の一環としてCxOの役員制度を推奨しており、2022年に公開された経済産業省の「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針 (CGS ガイドライン)」でも、CxOの重要性についてまとめられています。

 

さらに、近年では日本企業の株式を保有し発言権を得た外資系企業や外国人投資家などが、CxOの導入を希望するケースも増えてきているようです。CxOを設けることによるメリットに加え、これらのような背景から、日本でもCxOが広まってきています。

 

関連記事:コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針 (CGS ガイドライン)

 

  1. 執行役員との違い

執行役員とは、経営層の決定にしたがって事業運営の執行を担う責任者のことです。「役員」という名前がついていますが日本の会社法上の役員には該当せず、企業と雇用関係を結ぶ従業員としての契約になります。執行役員は業務執行の権限は持っているものの、経営方針についての決定権は持っていないという特徴があります。

 

CxOも、執行役員と同じように業務執行の権利を持っているので、両者の役割には共通する部分があります。しかし、執行役員が業務執行の権限のみを持つことに対して、CxOはxに代入される特定領域のプロフェッショナルとして、企業経営や企業戦略などへの提言が求められるケースも多くなっています。

 

CxOと執行役員は任意に設置できる役職のため、企業によって業務内容は異なっています。しかし、一般的な考えとして、事業運営の執行のみを担う役職が執行役員、事業運営の執行以外に、担当する特定領域の意見も求められる役職がCxOであると認識してよいでしょう。

 

  1. 取締役との違い

取締役とは、日本の会社法上で株式会社を設立する際に設置が必要な機関の一つで、会社の業務執行および業務執行に対する意思決定を担う役割を持ちます。また、取締役会を設置している株式会社の場合は取締役を3人以上選出せねばならず、取締役会を設置していない場合は1人の選任のみで株式会社として成立させることができます。

 

CxOとの違いの前に、取締役と執行役員との違いを説明します。両者の違いは、

①取締役は株式会社を設立するために必ず設置しなければならないものだが執行役員は任意で決められるもの

②取締役は株主総会の普通決議で選任されるが執行役員は取締役会から選任されるもの(取締役会を設置している会社の場合|会社法362条4項3号)

③取締役は業務執行の意思決定権を持つが執行役員は意思決定されたものを執行する役割であること

などの違いがあります。

 

ここまで説明してきたように、CxOは企業が任意に設置できるものです。そのため、取締役と執行役員の違い①のように、CxOの選任は法的なものではありません。

 

また、CxOの特定領域にもよりますが、CxOの選任は取締役と執行役員の違い②にある、会社法362条4項3号「支配人その他の重要な使用人の選任及び解任」に該当する可能性があります。そのため、CxOは任意の役職ではあるものの、取締役会を設置している企業では取締役会からの選任が必要になるケースも考えられます。実際に、取締役会を設けている株式会社では、CxOの選任に取締役会の決議を必要とている企業も見受けられます。加えて、取締役会を設置していない企業では、会社法348条3項1号からCxOの選任には取締役の半数以上の賛成が必要になるケースも考えられます。

 

  1. CxOのメリットと必要性

CxOのメリットと必要性を3つお伝えします。

 

  1. それぞれの役割分担ができる

詳しくは後述しますが、CxOには最高経営責任者(CEO)やCOO(最高執行責任者)、CMO(最高マーケティング責任者)、CFO(最高財務責任者)などの種類があります。CxOを設けるとxに当たる特定領域についての執行管理や提言を各CxOに任せることができるため、企業経営に関わる各分野の役割分担が可能になり、取締役は経営に集中することができます。

 

また、CxOは特定領域に関する専門家ともいえるため、取締役よりも各領域についての知識や経験が豊富にあることが考えられ、選任で任されるからこそ、各領域の企業状況も把握しやすくなるでしょう。そのため、CxOを導入したことで各領域の管理や状況が好転し、企業の経営力が上がることも期待できます。

 

  1. 経営者と現場を繋げることができる

企業運営においては、経営者が現場を理解していない、現場が経営者を理解していないなどの問題が往々にして起こります。そこで、CxOが経営者と現場の繋ぎ役を担い、相互理解や業務遂行の促進に寄与することが期待できます。規模の大きい企業になると、経営層の意向の浸透や現場の意見の反映などに関する管理方法なども考える必要がありますが、CxOという特定領域の最高責任者を置くことにより、企業運営のバランスは保ちやすくなるでしょう。

 

  1. 責任範囲を把握できる

役割を分担しているということは、特定領域の業務について責任の所在を明確にできることになります。経営や業務の成功、失敗などが題材に上がる際は、誰がそのような決定を下し、どのようなことを実行したかが問われることも多くなるのでしょう。また、CxOは各領域の最高責任者であるため、特定領域の業務が自身の最も優先すべきものになり、強い責任感を持って仕事に取り組むことができるかと思います。

 

取締役などがいくつかの業務を兼任している場合、幅広い領域をカバーしなくてはならないため一つの領域に専念することができません。そのような際は各領域での責任の所在も不明瞭になってしまう可能性がありますので、その点においてもCxOを設置するメリットは高いといえます。

 

  1. CxOの種類 一覧

CxOのXに代入される特定領域はいろいろとあり、企業によっては各領域ごとに最高責任者を設けています。この項目では、CxOの種類を6つお伝えします。

 

・CEO(最高経営責任者)

CEOのEは【Executive|経営者、重役、(管理、経営などで)実行力のある】などという意味の英語で、CEOは最高経営責任者と訳されます。代表取締役と同義として扱われることもある言葉ですが、代表取締役は会社法上で定義されている役職であるのに対し、CEOは会社法上で定義されていない任意の役職となっています。しかし、日本では代表取締役の方がCEOと名乗ったり、兼任したりするケースも多くなっています。

 

・COO(最高執行責任者)

COOのOは【Operating|経営上の、動作する、作動する】などという意味の英語で、COOは最高執行責任者と訳されます。企業における業務の執行とは、マーケティングや営業、開発、製造などのあらゆる分野を含んでいます。そのため、COOは他のCxOであるCMO(最高マーケティング責任者)やCFO(最高財務責任者)、CTO(最高技術責任者)などのように特定の領域に特化したCxOではなく、業務執行の全体責任を負う立場であるともいえる役職です。また、COOはCEOを補佐するナンバー2になることも多く、副社長としてのポジションを与えられることも多くなっています。

 

・CMO(最高マーケティング責任者)

CMOのMは【Marketing|マーケティング】を意味し、その名のとおり最高マーケティング責任者と訳されます。CMOは企業のマーケティング業務を統括し、マーケティング戦略の取りまとめや実行などを担います。海外ではCMOという役職を設ける機会が多くなっていますが、日本ではジョブローテーション(3〜5年程度の期間を経て、他の業務を担当させる方法)やプロダクトアウト(企業のやりたいことや作るものを中心とした考え方。対義語は「マーケットイン」で消費者の要望やニーズから企業のやることや作るものを決める考え方)の文化などがあるため、CMOは浸透しきっていないCxOのひとつでもあります。

 

・CFO(最高財務責任者)

CFOのFは【Financial|資金の、金銭上の、財務の】などという意味の英語で、CFOは最高財務責任者と訳されます。事業資金のキャッシュフローや資金の効率的な使い方についての戦略をとり、会社経営のお金周りを管理する役職です。また、企業の資金管理についての不正を監視したり、リスクを管理したりといった業務を任されることもあります。海外ではCFOという役職を設けることが多くなっており、日本の有名企業でもCFOを設けている企業が多数確認できます。

 

・CTO(最高技術責任者)

CTOのTは【Technical|専門の、技術上の、工業の、工芸の】などという意味の英語で、CTOは最高技術責任者と訳されます。ITや製造、科学などの技術的な領域についての最高責任者となり、経営視点を持った技術面の提言や技術事業の管理を担います。日本では、技術系の事業運営をしている企業やスタートアップなどでCTOを設けているケースが見受けられ、DX推進なども相まって徐々に浸透しているCxOとなります。

 

・CIO(最高情報責任者)

CIOのIは【Information|情報、知識、データ】などという意味の英語で、CIOは最高情報責任者と訳されます。情報技術とは、ITシステムやIT資産、IT戦略などのコンピューターを利用した技術のことで、CIOはそれらの管理や最適化を担う役職です。CTOとの違いは、CIOは情報技術に特化した役職であるという点です。情報系の事業運営をしている企業ではCIOを設置していることが多くなっていますが、日本のシステム開発などはSIerと呼ばれるシステム開発を請け負う企業に任せる形式が主流のため、自社でCIOを設けている割合はかなり低くなっています。

 

関連記事:SESとSIerの違いを徹底解説!それぞれの特徴や将来性までご紹介

 

  1. CxOの導入が向いている企業

経営と執行で役割を分離させ、業務執行のスピードを上げたい企業や上述したメリットを企業運営に導入したい企業では、CxOを設けることで状況が改善される可能性があります。また、これから起業をするスタートアップや海外展開を考えている企業でも、責任の明確化や社外に向けた企業形態のアピールなどにつながるでしょう。また、社外の人材にCxOの役割を与えることで、事業運営の透明性を担保したり、企業の人材では気付かなかった改善点が提言されることも考えられます。

 

CxOは、日本の会社法上では定義されるものではありませんが、国際的にはCxOを設けることのほうが一般的といえます。また、東京証券取引所や経済産業省もCxOの重要性について説明をしている状況ですので、企業運営を見直す際には検討すべき役職だと判断できるのではないでしょうか。

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  1. まとめ

CxOは執行役員や取締役とも違い、CxOにも多数の種類があることに驚いた方もいるのではないでしょうか? 近年では、日本企業でもCxOを採用することが多くなってきており、CxOに特定の事業を選任させることで経営と執行の分離や業務スピードの向上、責任の明確化などのメリットが生じます。また、CxOはそれぞれの特定分野から経営に関する提言をする役割もあるため、事業の改善についても専門的な意見を伝えることができるでしょう。

 

社会情勢から考えると、CxOは今後ますます広がっていく制度なのではないかとも予想することができます。この記事をきっかけにCxOについての理解が深まれば幸いです。