MySQLとは?SQLとの違いと特徴をわかりやすく解説

IT系の勉強を進めていると、「データベース」という言葉をよく目にすると思います。今回ご紹介する「MySQL」はデータベースの一種であるリレーショナルデータベース管理システムとして有名なものになり、WEB系システムで特に利用されています。この記事では、MySQLとSQLの違いや、MySQLの特徴やメリット、インストール方法、学習方法などについてまとめています。ぜひともご確認ください。
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Contents
MySQLとは?
MySQL(読み:マイエスキューエル)とは、Oracle社がリリースしているオープンソースのリレーショナルデータベース管理システムです。データベースの情報を収集・公開しているDB-Enginesの調査では、MySQLは世界で2番目に利用されているデータベースになっています。(2023年3月19日時点)
また、MySQLはオープンソースソフトウェアでWEB系システムを構築する「LAMP(読み:ランプ)」のひとつとしても有名です。具体的には、OSの「Linux」、WEBサーバーの「Apache」、リレーショナルデータベースの「MySQL」、3つのプログラミング言語「PHP」「Python」「Perl」の頭文字をとったものがLAMPと呼ばれています。
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そもそもデータベース管理システムとは?
データベース管理システム(略称はDBMS |Database Management System)とは、データを格納するデータベースの整理や検索などの管理をするためのシステムで、外部ソフトウェアなどの接続により操作することもできるソフトウェアのことです。
データベース管理システムにはいくつかの種類がありますが、現在主流になっているものは、リレーショナルデータベース管理システム(略称はRDBMS| Relational Database Management System)となり、MySQLはRDBMSの一種です。
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MySQLとSQLの違い
MySQLは、RDBMSの製品の一種であることに対して、SQLはデータベースを操作するデータベース言語の名称です。つまり、MySQLというシステムを操作するために、SQLというデータベース言語を利用することになります。SQLについては、まとめている記事がありますので、詳細については関連記事をご覧ください。
関連記事:SQLとは?プログラミング言語との違いや、構成、できることについて徹底解説
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MySQLの機能と特徴
MySQLの機能と特徴を3つお伝えします。
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リレーショナルデータベースを採用
MySQLは、リレーショナルデータベースでデータを管理するシステムです。リレーショナルデータベースとは、Excelのシートのような表形式で「行と列」で構成された「テーブル」を利用してデータを管理しています。テーブルを利用した管理をすることで、データの整理、検索、抽出などがしやすいといったメリットがあります。上述した関連記事では、テーブルやカラム、レコードといった細かい内容についても解説していますので、詳しく知りたい方はぜひともご確認ください。
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オープンソースで利用できる
オープンソースとは、ソースコードが公開されていて、基本的に無料で利用できるソフトウェアのことです。MySQLを利用してデータベースを構築すると、有料のデータベースに比べてコストを削減することができます。また、MySQLは、有料サポートも用意されており、利用者が多いため日本語の情報も豊富にあります。オープンソースソフトウェアには、サポートがないものや、情報が少ないものも多いので、その点においても安心して利用することができます。
関連記事:オープンソースとは?その特徴や使う際の注意点を解説
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様々なOSとシステム開発規模に対応可能
MySQLは、OSを選ばずに実行できるマルチプラットフォーム(クロスプラットフォームともいう)になっているため、WindowsやmacOS、Linuxなど複数のOSで環境構築をすることができます。また、開発規模についても汎用性があり、個人での利用はもとより、大規模なシステム開発にも対応できるため、Googleやヤフー、Meta(旧Facebook)などの大企業でも採用されています。
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MySQLのメリット
MySQLのメリットを3つお伝えします。
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拡張性と柔軟性が高い
先述したように、MySQLは、OSを選ばずに利用できるため、柔軟性が高いRDBMSのひとつです。また、小規模から大規模まで利用できることは、拡張性が高いと説明することができます。大規模なデータベースになると、同時利用をする顧客の数が増えるため、処理速度が遅くなりがちですが、MySQLは、データ検索や処理結果を素早く反映できるシステムを利用しているため、大規模なシステムにも対応できるようになっています。
さらに、ブラウザからデータベース接続が可能になる「phpMyAdmin」や、データベースの作成や設計、管理ができる「MySQL Workbench」というビジュアルツールもあり、この点においても拡張性や、柔軟性が高いと判断することができます。
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強力なセキュリティ
MySQLでは、SSH(Security Shellの略称)という遠隔でコンピューターを操作する際に、データを暗号化するプロトコル(通信規格)や、 SSL(Secure Socket Layerの略称)というインターネット上で端末と、サーバー間のデータを暗号化するプロトコルが利用されています。また、正規ユーザー以外のデータベースサーバーへのアクセスを制御するメカニズムや、第三者の盗み見を防止する機能、復号機能(暗号化やデータ圧縮などで変換されたデータを元のデータに戻すこと)なども備わっています。
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世界的企業の安心感
MySQLの開発元は、世界的なIT企業であるOracle(オラクル)社であり、GoogleやMetaなどのGAFAでも利用しているRDBMSのため、安心感があることは間違いないでしょう。また、Oracle社が継続的に管理をしており、バックアップや、リカバリーなどのデータを守る機能が充実していること、世界的なIT企業が提供しているシステムであるため、EOS(End Of Service|サービスの終了)のリスクが少ないことなどのメリットもあります。
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MySQLの注意点
MySQLは、無料で利用できるため簡単に導入することができますが、システム開発や運用をしていく過程で生じた問題については、自分で対処しなければなりません。そのため、データベースに詳しい人員がいないと、対応できなくなる可能性があります。また、システムが小規模なときはまだしも、運用していくなかでシステムが大規模になった際に、障害やトラブルが原因でサービスを停止してしまった場合、企業責任などを問われることも考えられます。
無料で利用することはコスト削減になりますので企業にとっては喜ばしいことですが、企業内の人材でも対応できない問題が発生する可能性もあるため、システムの規模によっては有料サービスも検討する必要があります。
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MySQLのインストール方法
MySQLのインストール方法をお伝えします。ここでは、ダウンロード環境はmacOS Ventura13.2.1(22d68)となります。
MySQL Community Downloadsにアクセスをすると、下記の画像画面が表示されますので、赤い枠線内の「Download」をクリックします。
クリックをすると、下記の画像画面に遷移するので、「No thanks,just start my download.」をクリックします。
パソコンにファイルがダウンロードされたあと、下記の画像画面が出てきますので、アイコンをクリックします。
「許可」をクリックします。
インストーラが起動されるので、「続ける」や「同意する」など、肯定的な内容を選択します。
「インストール」をクリックすると、完了します。
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MySQLの基本的な使い方
MySQLを操作するには、SQLを利用します。SQLは、国際標準化されている規格のため、SQLを覚えれば、他のRDBMSの操作も可能です。また、Microsoft SQL Serverの「Transact-SQL」のように、SQLの機能拡張をしたものも存在します。
加えて、SQLは、データ定義言語(DDL)、データ操作言語(DML)、データ制御言語(DCL)の3つから構成され、構文も異なっています。こちらの内容については、関連記事の【3.SQLを構成する言語】で紹介していますので、よろしければご確認ください。
関連記事:SQLとは?プログラミング言語との違いや、構成、できることについて徹底解説
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MySQLの学習方法
MySQLの学習方法を3つお伝えします。
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プログラミングスクールに通う
独学に比べると費用がかかりますが、効率的に勉強したい方は、プログラミングスクールで学習することをおすすめします。MySQLに特化したコースを組んでいるスクールはそれほど多くありませんが、SQLについて学習できるスクールは多く存在しています。プログラミングスクールは、カリキュラムがあるため勉強しやすい、質問対応があるため早く疑問を解決できる、就職や転職サポートがあるなどのメリットがあります。
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書籍で学ぶ
MySQLは、人気のあるRDBMSのため書籍もたくさん販売されています。また、書籍は初心者向けの本から、上級者向けの本まで販売されていますので、最初は基礎的なことから学習していき、必要に応じて学習難易度を上げていくことも可能です。
初心者向けの本には以下のようなものがあります。
5年ぶりのバージョンアップ!DB、SQL、PHPまったくの初心者向け。(内容より抜粋)
・1週間でMySQLの基礎が学べる本 (1週間プログラミング)
本書を読み進めながら、一緒にサンプルSQL文を入力してみることで、データベースの基礎とMySQLの基礎が分かるようになり、ちょっとだけSQL文が書けるようになります。(内容より抜粋)
本書はMySQLをはじめて触る方を対象として、開発環境の準備からSQLの基本的な書き方、PHPによるWebシステム開発まで、図解でわかりやすく解説します。(内容より抜粋)
運用・データ型・レプリケーション・文字コードなどの実務で役立つ内容もバランスよく解説します。(内容より抜粋)
また、MySQLに限らず、SQLやプログラミング言語の学習では自分で手を動かして覚えていくことが大切です。自分のパソコンにMySQLをインストールして学習を進めていきましょう。
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学習サービスやWEBサイトなどを利用する
学習サービスの「ドットインストール」、「paizaラーニング」にはMySQLの学習コースが設けられており、コースの途中までなら無料で利用できます。学習コースのすべてを勉強するためには月額1,000円程度が必要になりますが、画像や動画などで視覚的に学びやすいと感じる方もいらっしゃると思います。また、「Udemy」では各種有料コースが設けられており、「Progate」は導入部分までの学習しかできませんが、無料で利用可能です。
加えて、Oracle社の公式サイトではMySQLのチュートリアルが公開されているため、チュートリアルに沿って勉強することができ、MySQLの勉強方法を無料で公開しているWEBサイトも存在します。書籍やこれらのサービスなどで独学は可能ですので、気になった方は無料のものを利用して気軽に始めてみましょう。
※参考:MySQL :: MySQL 8.0 リファレンスマニュアル
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まとめ
MySQLはRDBMSとして人気のあるもので企業でもよく利用されているため、習得できれば就職や転職の活動で評価されることが期待できます。また、MySQLを操作するためのSQLは他のRDBMSでも利用できるため、データベース操作の基本が身につくことも大きなメリットです。
データベースの知識はインフラ構築やデータ分析などで必要なので、知識としての汎用性も高く、関連する知識を増やしていくことでスキルアップもしやすくなります。これからエンジニアになろうとしている方はもとより、エンジニアとしてキャリアアップを望む方にもおすすめできますので、ぜひとも学習を検討してみてください。