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転職コラム

SQLとは?できることや特徴、非エンジニアも学習するメリットについて徹底解説

SQLとは?プログラミング言語との違いや、構成、できることについて徹底解説

プログラミング言語の学習を進めていたり、エンジニアとしての就職・転職情報などを見ていると「SQL」という単語を目にする場面があると思います。SQLはデータベースを扱う言語ですが、プログラミング言語との違いやSQLの構成、できることなどはよくわからない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、上記の内容に加え、SQLを利用して操作ができるリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)や、SQLの勉強方法なども解説しています。

SQLとは

SQL(読み:シーケルあるいはエスキューエル)とは、リレーショナルデータベース(RDB)を扱うための言語のことで、データベース言語と呼ばれます。顧客情報や商品情報などのデータをデータモデル(データを分類・整理するための方式)ごとにコンピューターの中に格納したものがデータベースです。なかでも、リレーショナルデータベースは表形式の複数データを関連付けて使えるようにしたデータベースです。

例えば顧客情報では、氏名、電話番号、メールアドレス、住所、購入履歴などを整理・登録しておき、地域や購入履歴に基づいたセール情報を配信したり、データの分析結果からレコメンド機能へ利用する、などができます。WEBアプリケーションで顧客や商品のデータを扱うもののほぼすべてでデータベースが使われているため、我々が意識していなくとも日常的に接しているシステムのひとつです。近年注目を集めているビッグデータやデータサイエンスの領域でもデータベースが多く利用されており、データの整理や調整でもSQLは使われています。

また、SQLは1986年にANSI(読み:アンシ|米国国家規格協会)にて規格化され、現在はISO(読み:イソあるいはアイエスオー|国際標準化機構)が国際標準化をしている規格のため、「MySQL」や「PostgreSQL」などのリレーショナルデータベースの種類を問わず利用可能です。

SQLの基本的な定義と役割

SQLは、データベースに対して命令を送るための標準的な言語として広く認知されています。

Structured Query Language(構造化問い合わせ言語)としてデータを検索するだけでなく、他の機能として、新しいデータベースやテーブルの作成、データの追加・変更、不要データの削除など、データベース管理に必要な操作をすべて実行できます。

プログラミング言語との違い

データベース言語はデータの検索・更新・定義に特化した宣言型の言語です。代表的なSQLでは「何を」取得するかだけを指定すれば、最適な方法で実行されます。

一方、JavaやPythonなどの汎用プログラミング言語は命令型で、「どのように」処理を進めるかを細かく指示する必要があります。

つまり、データベース言語はデータ操作に集中し、プログラミング言語はアプリケーション全体の処理を実装するための言語と考えれば理解しやすいでしょう。

SQLを構成する言語

SQLはデータベース言語を扱う言語と説明をしてきましたが、SQLのなかにも命令文の種類が3つあります。本項では3種の命令文をご紹介します。

また、リレーショナルデータベースでは、Excelのシートのような表形式でデータを管理する「テーブル」を利用します。SQLはテーブルを使ってデータを管理する言語となっており、言語の特徴をよく理解しておく必要があります。

データ定義言語(DDL)

DDLとは、Data Definition Languageの略称で、テーブルの作成、変更、削除などをする命令文です。基本的な命令文は以下のとおりです。

  • ・CREATE……テーブルの作成
  • ・DROP……テーブルの削除
  • ・ALTER……既存テーブルの定義変更
  • ・TRUNCATE……テーブルのデータ削除
  • ・RENAME……テーブル名の変更
  • ・JOIN……テーブルの結合
  • ・COMMENT……テーブルへのコメント追加

データ操作言語(DML)

DDLとは、Data Definition Languageの略称で、テーブルの作成、変更、削除などをする命令文です。基本的な命令文は以下のとおりです。

  • ・CREATE……テーブルの作成
  • ・DROP……テーブルの削除
  • ・ALTER……既存テーブルの定義変更
  • ・TRUNCATE……テーブルのデータ削除
  • ・RENAME……テーブル名の変更
  • ・JOIN……テーブルの結合
  • ・COMMENT……テーブルへのコメント追加

データ制御言語(DCL)

DMLとは、Data Manipulation Languageの略称で、データを操作する命令文です。テーブルの行のことを「レコード」といい、DMLはレコードに関するデータの操作をおこないます。

赤色部分の行をレコードといいます。

基本的な命令文は以下のとおりです。

  • ・SELECT……テーブルからレコードを取得
  • ・UPDATE……テーブルのレコードを更新
  • ・DELETE……テーブルからレコードを削除
  • ・INSERT……テーブルにレコードを新規登録

SQLでできること

SQLでできることを5つお伝えします。

データベースの作成

SQLはデータを格納するデータベース自体とテーブルの作成が可能です。データベースを利用すると顧客情報や従業員情報、商品情報などの一元管理ができるため、作成するメリットは多岐に渡ります。代表的なメリットとしては、データの共有や管理が簡単になる、データ分析やデータの再利用がしやすくなるなどがあります。

データの検索・抽出

SQLはデータベースに格納された大量のデータから、特定のデータだけを検索・抽出できます。例えば、登録者の名前だけ、性別での検索、年齢30歳以上の登録者など、条件の指定で簡単にデータベースから該当データの検索・抽出が可能です。

データの整形

SQLの利用でデータの削除や追加、整理などの管理が可能になります。データベースのデータを利用した分析などでは、データが統一されていないと正確な情報を導き出すことができなくなってしまいます。例えば、同じようなデータでも半角と全角が違っていると異なるものとして認識されてしまいますし、データが重複している場合もあります。しっかりと管理をするためにも、データの整形は大切です。

テーブルの結合

SQLで作成した異なるテーブルを結合させることができます。例えば、「商品注文履歴のテーブル」と「商品IDや金額、個数のテーブル」を結合させて、「注文履歴の商品IDに金額や個数を表示させるテーブル」などを作ることができます。関連する情報を1つのテーブルに結合させ、データを見やすく、管理しやすくできます。

トランザクション制御

トランザクション制御では、一連の複数データの処理を全体処理として管理できます。例えば、銀行口座から1万円を送金するAさんと受け取るBさんの残高処理では、Aさんの銀行口座残高から1万円を引き、Bさんの銀行口座残高に1万円を足す処理がおこなわれます。

送金処理の際に、Aさんが送金したことによって銀行口座残高から1万円が引かれたのにも関わらず、Bさんの銀行口座残高が変わらなかった場合、データの整合性が取れず問題になってしまいます。そこで、Aさんの送金とBさんの受け取りを1つの処理としてまとめて扱う決まり(トランザクション)を設け、データ移行のミスがあったときに処理結果を取り消し、データ移行が成功しない限り処理結果を反映させないようにできます。

SQLの押さえておきたい基本用語

SQLを利用するうえで押さえておきたい基本用語をご紹介します。

テーブル

リレーショナルデータベースで、データを表形式にまとめているものをテーブルといいます。テーブルは列(カラム)と複数の行(レコード)から構成され、テーブル自体も複数作成できます。

カラム

テーブル内の列のことをカラムといいます。下記画像では、顧客番号、顧客氏名、性別などの列がカラムに該当します。

レコード

テーブル内の行のことをレコードといいます。各カラムの項目をレコードを通して確認できます。

フィールド

フィールドとは、Excelでいうセルに該当する部分で、レコード内のひとつひとつの

入力項目です。カラムもレコードも、「複数のフィールドを集めたもの」として説明できます。

主キー

主キー(primary key)とは、レコードを一意に識別する(重複しない情報として識別する)ためのカラムです。

顧客情報テーブルの例では、顧客氏名や性別などが重複する場合があっても、顧客番号はそれぞれに割り振られるため重複はしません。そのため、顧客番号を主キーに設定すればレコードを一意に識別できるようになり、レコード重複の防止や検索スピードの向上などが可能になります。

インデックス

インデックスは、テーブル内のデータを素早く見つけるための仕組みで、本の索引に似ています。

例えば、顧客データベースで「姓」の列にインデックスが作成されている場合、すべての顧客レコードを確認する代わりに、インデックスを使用して該当する顧客の位置がすぐに判明し、検索速度が大幅に向上します。

SQLが使えるリレーショナルデータベース

リレーショナルデータベースの操作ができるSQLですが、リレーショナルデータベースにもたくさんの種類があります。本項では5つをピックアップしてお伝えします。また、本項では「オープンソース」に分類されるものの説明を含みます。オープンソースをまだご存知ない方は、下記の関連記事をご確認ください。

関連記事:オープンソースとは?その特徴や使う際の注意点を解説

MySQL

※参考:MySQL

MySQL(読み:マイエスキューエル)とは、Oracle社からリリースされているオープンソースのリレーショナルデータベース管理システムで、世界中で最も利用されているもののひとつです。また、WEB系開発でよく利用されるLAMP(OSの「Linux」、WEBサーバーの「Apache」、リレーショナルデータベースの「MySQL」、プログラミング言語の「PHP」あるいは「Python」か「Perl」)に含まれるシステムの1つです。LAMPのソフトウェアはすべてオープンソースとなっているため、LAMPで開発環境を整えるとコストの削減ができるようになっています。

MySQLは柔軟性と拡張性が高く、大量データでも高速処理が可能です。加えて、オープンソースでありながら、充実したユーザーコミュニティとOracle社の保守体制が整っています。中小企業やスタートアップはもとより、Googleやヤフー、Meta(旧Facebook)、Twitter、Netflixなどの大企業でもMySQLは利用されており、CMS(Contents Management System|コンテンツ管理システム)として有名なWordPressにも組み込まれています。

また、MySQLはオープンソースのものがよく利用されますが、「MySQL Standard Edition」や「MySQL Cluster Carrier Grade Edition」などの商用ライセンスも存在しています。

Maria DB

※参考:MariaDB Foundation–MariaDB.org

Maria DB(読み:マリアディービー)とは、MySQLからフォーク(あるソフトウェアのソースコードを分岐させ、独立したソフトウェアを開発する)をした、オープンソースのリレーショナルデータベース管理システムです。MySQLの創設者でもあるミカエル・ウィデニウス氏によって開発されました。MySQLと操作方法などが酷似しているのは、MySQLがOracle社に買収されたあと、MySQLに代わるデータベースとしてMaria DBを開発したことが理由となっています。

そのため、Maria DBはMySQLと高い互換性を持ち、MySQLからの移行も簡単にできます。また、近年では、LinuxディストリビューションにMaria DBが標準搭載されることも多くなっています。

Linuxディストリビューションについて詳しく知りたい方は、下記の関連記事をご確認ください。

関連記事:LinuxとWindowsは何が違う?それぞれのメリット・デメリットや特徴を解説

Oracle Database

参考:Database 19cおよび21c |オラクル| Oracle日本

Oracle Databaseとは、Oracle社が販売をしている有償のリレーショナルデータベース管理システムです。障害に対するさまざまな機能を有しており堅牢性が高い、誰かがデータ更新をしても待ち時間なく読み取りができる、サポートが充実しているなどの特徴があります。データベースに関する情報を収集・公開しているDB-Enginesによると、Oracle Databaseは世界で最も利用されているデータベースとなっています。(2025年7月現在)

※参考:DB-Engines Ranking

PostgreSQL

※参考:PostgreSQL: The world’s most advanced open source database

PostgreSQL(読み:ポストグレスキューエル|業界での略称はポスグレ)とは、オープンソースのオブジェクトリレーショナルデータベース管理システムです。MySQLなどと違い、JavaやPythonなどのオブジェクト指向の仕組みを用いたデータベース管理システムとなっています。オブジェクト単位でデータベースの操作ができるため、大量のデータや複雑な処理を得意としています。また、PostgreSQLは無償でありながら商用データベースに比べても引けを取らない機能を有しており、世界的にも人気があります。

Microsoft SQL Server

※参考:SQL Serverのダウンロード–Microsoft

Microsoft SQL Server(業界ではSQL Serverと略されることが多い)とは、Microsoft社がリリースしているリレーショナルデータベース管理システムです。Microsoft社製のデータベースのため同社製品と相性がよく、有償で大規模システム向きの「Enterprise」、有償で中〜大規模システム向きの「Standard」、無償だがテスト環境でのみ利用可能な「Developer」、無償で小規模システム向きの「Express」のエディションがあります。

また、データベース操作にはMicrosoft SQL Server向けにSQLを独自拡張した「Transact-SQL」を利用し、GUI操作も可能になるツール「SQL Server Management Studio」も用意されています。

SQLite

※参考:SQLite Home Page

SQLiteとは、簡易的に利用できるオープンソースのリレーショナルデータベース管理システムです。SQLiteは他のデータベースと違い、アプリケーションに組み込んで利用するライブラリの一種となっており、設定が不要で自己完結型のシステムとなっています。名前のとおり、あくまでライトに使えるものとなり、大規模データベースの構築などには向いていません。しかし、軽量で省メモリにも関わらず、中規模データベースの構築までは対応できるといわれています。

非エンジニアにも!SQLを勉強するメリット

SQLの習得でエンジニアとしての就職や転職で有利になることは間違いないでしょう。また、非エンジニアの方にとっても、SQLの習得にはメリットがあります。

データが活用できるようになる

非エンジニアがデータベースで管理をしている売り上げデータなどを確認する場合、エンジニアにデータの検索・抽出を依頼しなくてはなりません。しかし、SQLの操作を自分でおこなえるとエンジニアへ依頼する手間がなくなり、必要なデータを必要なときに取り出すことが可能になります。非エンジニアがSQLを習得すれば、データ関連の業務を自力で完遂できるようになる点は大きなメリットでしょう。

需要が高く就職や転職に役立つ

ビッグデータやデータ分析などの用語が一般化され、多くの企業でデータの有用性が認知され始めています。企業内でのデータ分析やデータの整形が増えてきているため、SQLを習得していると就職や転職の際に評価されることが期待できます。

また、SQLを習得してからプログラミング言語を覚え、エンジニアに転身するキャリアプランを描くこともできます。

SQLを習得すれば目指せる職種

データベースエンジニアは、データベースの設計・開発・管理・運用を担当するスペシャリストです。データ管理の専門家として重要な役割を果たします。

データベースエンジニアの求人一覧

データサイエンティストは、ビジネス課題解決に必要なデータを収集・分析するスペシャリストです。大量のデータから効率的に情報を取得するためにはSQLが不可欠です。

データサイエンティスト・アナリストの求人一覧

関連記事:データサイエンティストに必要な資格とは?年収や仕事内容、必要なスキルもご紹介

バックエンドエンジニアは、WEBサイトやアプリケーションのサーバーサイドを開発します。データベースから情報を取得・操作する際にSQLの知識が重要となります。

関連記事:バックエンドエンジニアとは?おすすめ言語や未経験でなる方法も解説

SQLの効率的な勉強方法

主な学習方法を3つご紹介します。

書籍では、レベル別にまとめられた教材から自身の状況に合ったものを選択できます。「Oracle Master Bronze」などの入門レベルの資格取得を目指すと、学習意欲を高め、就職や転職に有利になります。主な資格は、「MySQL 8.0 Database Administrator」「OSS-DB技術者認定試験」「データベーススペシャリスト試験」などです。

プログラミングスクールは、通学型とオンライン型があり、費用は高めですが、継続的な学習とモチベーション維持に効果的です。

オンラインサービスでは、「Progate」「ドットインストール」「Paizaラーニング」などの有名プラットフォームで、無料版で各サービスを試してから、自身に合ったもので有料会員になり、勉強を進めていきます。

SQLの将来性

SQLは数十年にわたりデータ管理の中心を担い、ビッグデータ時代にも重要な存在であり続けています。

Apache Hive、Google BigQuery、Snowflakeなどクラウド・オンプレミスのデータウェアハウスはすべてSQL互換のエンジンを備えています。

さらに、Apache Flink、Spark Structured Streamingなどのストリーム処理エンジンでもSQLライクな言語が採用され、リアルタイム分析に活用されています。

ビッグデータ時代になって、SQLスキルの重要性はむしろ増しています。

SQLの人気・市場シェアの傾向

人気のデータベース管理システム(DBMS)は、DB-Enginesによると、以下のようになっています(2025年7月現在)

DBMS市場は、2024年時点で890億ドル規模に達し、2034年には2,482億ドルまで拡大すると予測されています。

クラウド型データベースが急成長しており、現在の市場の約55%を占め、2027年には73.5%に達すると予想されています。 SQLを使用するRDBMSが市場の約54%を占め、依然として主流です。

まとめ

現在のWEBサイト、WEBアプリケーション運営では、データベースを利用して顧客情報や商品情報を管理するケースがとても多くなっています。また、スマートフォンアプリやゲームの開発などでもSQLは利用されています。

リレーショナルデータベースを操作するSQLのニーズは高く、スキルを有していることでエンジニア、非エンジニアを問わず評価されることが期待できます。SQLはプログラミング言語に比べると、言語としての学習難易度は低くなっています。気になった方はぜひとも勉強を始めてみてください。