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Raasとは?小売業界で注目される理由と成功事例をご紹介

小売業界がどのように変化しているのか、興味はありませんか?小売業界に近年RaaSと呼ばれるサービスが登場し、注目を浴びています。

RaaSを利用すれば小売業者はテクノロジーとデータ分析を活用し、販売、在庫管理、顧客体験を最適化できます。

本記事では、RaaSの利点と仕組み、成功事例やあらゆる規模の企業にとってさまざまなメリットをもたらす理由を探ります。

 

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  1. RaaSとは?

最初にRaaSと呼ばれるサービスの特徴と同名サービスの違いをご説明します。

 

  1. RaaS(Retail as a Service)の定義

本記事でとりあげるRaaS(Retail as a Service)は「小売業のサービス化」と訳されます。

似たような用語が多数ありますが、用語の末尾3文字「aaS」の部分はいずれも「as a Service」の略称で「○○のサービス化」「サービスとして提供される○○」を意味しています。

RaaSは近年新たに登場してきたもので、小売業に必要な仕組みを提供するサービスです。

例えば、家電量販店を例として考えてみると、家電量販店を運営するにはさまざまな機能が必要と分かります。立地の選定、店舗の設営、店内への商品陳列棚の配列、在庫の管理、従業員の管理、売り上げの管理、ポイントカードの管理、修理品の管理、チラシやWEBサイトの運営、セールの告知などなどお店を設営し運営していくには分野の異なるいろいろなシステムや仕組みが必要となります。

従来は、一企業が家電販売で規模を拡大していき店舗数を増やすなかでノウハウを蓄積していき、必要に応じてソフトウェア開発企業にシステム制作を依頼するなどしてだんだんとシステムを作り上げていました。

RaaSではサービスとして小売業の運営に必要となるさまざまな機能をIT企業が提供しています。

店舗運営のノウハウはないけれども自社商品を販売したい企業などがRaaSを利用すれば実証済みの仕組みを使って短期間で顧客への販売を始められます。

 

  1. 「Robotics as a Service」との違い

同じ綴りのRaaSには、「Robotics as a Service」と呼ばれるものも登場しています。本記事で取り上げる小売業のサービス化との違いは、ロボットを提供する点です。

Robotics as a Serviceでは、高度に自動化された設備=ロボットをサブスクリプション型で提供します。自社の工場や倉庫に自律型フォークリフトを導入したい企業やホテルにロボット掃除機を導入したい場合などに利用されています。

 

  1. 「Ransomware as a Service」との違い

また、近年登場した「Ransomware as a Service」は、インターネットのセキュリティにとって危険な存在になっているとされます。

ランサムウェア(Ransomware)とは、犯罪組織が使うツールであり、インターネットにつながるコンピュータのデータを奪います。

例えば、ある病院のコンピュータにカルテの情報が保存されており、ランサムウェアに感染したことで過去のカルテ情報にアクセスできなくなり患者の診察が困難になった事例があります。

Ransomware as a Serviceでは、ランサムウェアを開発した組織が別の組織へ犯罪に必要なツールを一式提供しているため、誰もがランサムウェアを使って犯罪をおこなえるようになりました。

 

  1. RaaSが小売業界で注目されている理由

 

RaaSは小売業から注目を浴びています。理由を2点ご紹介します。

 

  1. 消費者の購買経路に変化 

かつては買い物をするとしたら、食品ならA店、雑貨ならB店、高級品ならCデパートなど消費者は限られた選択肢のなかで買い物をしていました。

現在ではWEBブラウザやモバイルアプリ、SNSなどを使ってオンラインで多種多様な選択肢の中から細かな好みに合った商品を選んで買い物できるようになり、買い物をする場所の重要性はかつてより低くなりました。

オンラインの盛り上がりに対して従来の小売業では、O2Oやオムニチャネルなどさまざまな販売戦略を用いて対応をおこなってきました。O2Oとは、インターネット広告やSNSを利用して潜在顧客を実店舗に呼び込むビジネス戦略であり、オムニチャネルでは買い物客がオンラインとオフラインを行き来できるようにします。

クラウドの技術を使っているRaaSはこうした従来型の施策に比べて柔軟にサービスの規模を拡大できコストも削減できることから、小売業に注目されています。

 

  1. コロナ禍などによる消費者行動の変化

コロナ禍は世界中に広がり、生活やビジネスに大きな影響を与えました。これにより消費者のニーズが変わったため、小売業にも影響は大きいものとなりました。

非接触が好まれるようになり、ドライブスルー方式やセルフレジの導入、キャッシュレス決済が日本でも普及するなど実店舗での購入の仕方も変わってきています。

セルフレジなどの導入には多額の投資が必要になるためすべての小売業が変化に対応するのは容易ではありませんが、RaaSは最新の仕組みを初期投資を抑えて導入できるため注目されています。

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  1. RaaSを導入するのメリット

 

RaaSを導入すると小売業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。4点ご紹介します。

 

  1. 低コストで導入可能

RaaSは効果が出ている施策をサービス化しており、先進的な施策を実現するためにAIやIoTなどの高度なテクノロジーが使用されています。

多大な開発費がかかり、効果も未知数のシステムを自社で立ち上げるのは大変な過程です。しかし、RaaSであれば使用料だけで導入でき、将来的に市場と合わなくなったときは利用停止もできるためリスクを抑え低コストで先端技術を導入できます。

 

  1. 顧客データを収集・分析できる

現代の小売業にとって顧客のデータを集めて分析し、販売施策に活かすことは大変重要です。

データを分析して顧客の属性、好み、購買習慣を知ることで個々人に合わせたマーケティング、商品提供の最適化に役立ちます。また、需要予測・在庫管理、売上と収益性を高めるための意思決定をデータに基づきおこなえます。

RaaSでは、例えばAIカメラが店舗内の顧客の動きや好みを自動で分析・データ化したり、データに基づいて店舗内の商品配置をAIが提案する、顧客の行動を予測して高度な在庫管理をおこなうなど最先端のテクノロジーを使ったデータ収集や分析ができます。

 

  1. 新たなビジネス開拓につながる

RaaSでは新しい店舗をオープンするための投資を抑えられるため、さまざまな新しいビジネスを試しやすくなりました。

予算内で新商品や新しいサービスを実店舗で試験販売し、顧客の反応や好みなどのデータ収集をおこなえるので大々的に製造や販売をおこなう前に新商品の問題点を洗い出せます。

また、RaaSを提供する側の企業にとっても、自社以外のさまざまな小売業でサービスが利用されることで安定した収益と幅広いデータを得ることができ、RaaS自体の改善につなげたり自社だけでは気付かなかった新たなサービスの開拓にもつながります。

 

  1. DX推進によるCX/EXの向上

デジタル庁が発足し、政府としてデジタル化の推進(DX、デジタルトランスフォーメーション)をおこなっています。

DXとは、ビジネスのあらゆる領域にデジタルの技術を導入し、ビジネスの運営方法や顧客への価値提供方法を根本的に変える活動です。DXを進めるには、小売業の運営に加え、ITシステムを開発・運用できる必要があります。コストや人員などの面でハードルがあるため、小売業でのDX推進はなかなか進んでいません。

しかしRaaSであればシステム導入のハードルが低く、小売業のDXを推進できる可能性があります。

デジタル化が進めば、AIを活用して顧客の好みに合う商品を提案したり、売れそうな商品の入荷量を調整する、レジうちを減らすなど店舗従業員がおこなっていた活動を肩代わりでき、従業員は顧客への対応に時間を使えるようになります。

CX(顧客体験)、EX(従業員体験)を向上して店舗での買い物をより楽しく充実した時間にできます。

 

  1. raasの成功事例

世界ではいくつかRaaSの成功事例が出てきています。3点ご紹介します。

 

  1. マイクロソフト「Kroger(クローガー)」

オハイオ州シンシナティに本社のあるKrogerは2021年度に18兆円超の売り上げがあった世界最大手の食品小売です。KrogerとMicrosoftが提携し食品の小売業界に向けたRaaSを開発しました。

最新のデジタル表示システムEDGE Shelfは紙の値札の代わりに、価格やプロモーションから栄養や食事に関する情報まで伝えることができます。

また、MicrosoftのクラウドAI技術を使い店内カメラの映像を分析し顧客の好みや在庫切れを発見・情報収集できます。

他の食料品店でも利用でき、今後はレジや在庫管理システムとの連携も提供される予定です。

 

  1. b8ta「b8ta(ベータ)」

b8taは2015年に設立された実店舗を持ちたい企業向けのRaaSです。

一等地のリアル店舗に商品を展示するスペースを提供するだけでなく、販売員が商品に関する質問に答えたり相談に乗るなどの対応をおこない、気に入った商品があれば実際に購入できます。また、顧客の動きは店内カメラの映像から分析しリアルタイムで企業へ提供されます。

店舗や技術インフラの構築、販売員、データ分析などが含まれているため、企業は低コストで実店舗を出店し、データ収集や顧客接点を持てるようになります。

 

  1. アマゾン「Amazon Go(アマゾンゴー)」

Amazon GoはEC大手のアマゾンが2018年から展開するコンビニエンスストアチェーンで、レジをなくし便利にショッピングできる仕組みを提供しています。

店内カメラの映像をもとにAmazonのAI技術が顧客の動きを分析し、何の商品を手に取ったのかを検知し、顧客が店を出た時点でAmazonの支払い情報を使って決済がおこなわれます。他店では買い物の最後にレジに並ぶかセルフレジで支払いをおこなうのが通常ですが、Amazon Goは支払い手続きをなくしました。

  1. まとめ

RaaS(Retail as a Service)を見てきました。

  • RaaSは小売業に役立つ仕組みを提供します。
  • 世界情勢や消費者の好みが変わったことでRaaSは注目されています。
  • RaaSは低コストで最新のIT技術を導入でき、顧客体験の向上やデータ分析に役立ちます。

小売店はRaaSを利用して先行投資や固定費を安く抑えつつ、最新のデータ分析技術で顧客の嗜好を知り店舗レイアウトや商品開発、マーケティング戦略に役立てられます。