企業の膨大なビジネスデータを管理するために、そして新しくシステムを開発するために、社内にサーバを設置することは、一昔前なら当たり前だった。――しかし、時代は変わった。ビジネスの領域がグローバルに広がり、競争に打ち勝つためにスピードが求められている今、クラウドサービスを利用する企業が右肩上がりに増加している。クラウド導入を優先的に検討する「クラウドファースト」という言葉を見聞きすることも多くなった。

そのような時流のなか、クラウドベースのCRM/顧客管理などを世界10万社以上に提供し、クラウドサービスの代表格と言えるのが米国に本社を持つセールスフォース・ドットコムだ。そして、今回取材する株式会社テラスカイは、同社の日本法人立ち上げから密接に関わり、重要パートナー企業として出資も受けている。直近5年間は144%の成長を遂げており、2015年4月には東証マザーズに上場。Salesforce を中心とするクラウドの導入実績は3,000 件以上と、国内トップクラスを誇っている。

そんなテラスカイのエンジニア部隊を率いているのが、取締役CTOである竹澤聡志氏だ。今回、アールストーン・取締役である小椋がインタビュアーとなり、竹澤氏にテラスカイがトップの技術力を維持できる環境作りや、活躍できるエンジニア像など、話を伺った。

 

【写真右】 株式会社テラスカイ 取締役CTO 竹澤聡志氏

1972年生。東京工業大学 生命理工学部 生体分子工学科から、数社を経て2007年にテラスカイ入社。2017年に同社取締役CTOに就任。

【写真左】 株式会社アールストーン 取締役 小椋将樹

IT企業にて営業経験後、15年間大手人材紹介会社にて営業・コンサルタントとして活躍後、子会社であるヘッドハンティング会社の経営、海外事業会社の統合・経営、人事制度の構築や労務コンサルティングなどに従事。2018年にアールストーンにジョインする。

 

小学生の頃からゲームのプログラミングに熱中する

アールストーン・小椋 : 現在はCTOとしてご活躍されている竹澤さんですが、はじめに、どのようなキッカケでエンジニアを目指そうと思ったのかをお伺いしていきたいと思います。

テラスカイ・竹澤 : プログラミングとの出会いは小学生の頃です。親と一緒に本屋に行ったときに「BASICマガジン 」などのパソコン・ゲーム雑誌に興味を惹かれたのが、最初のキッカケですね。その雑誌に載っていたゲームのプログラムを組んでみたくなって親にお願いして「MSX」を買ってもらいまして。中学1~2年くらいまでは、BASICでプログラミングしてゲームを作ることに熱中していました。

アールストーン・小椋 : MSX、流行りましたよね。懐かしいです。

テラスカイ・竹澤 : そうですね。ただ、私は割と飽きっぽい性格で(笑)。中学以降はバンドブームがあり、それからは音楽にのめり込みました。高校生の頃にはバンドを組んでギターを弾いていたんです。その一方で、テレビや雑誌で見た「これからはDNAや遺伝子といったものが注目されていく」というニュースに感化され、大学はその研究をやろうと思い、東京工業大学の生命理工学部に入りました。

アールストーン・小椋 : 大学は生物系だったんですね!

テラスカイ・竹澤 : はい。大学では、希望通りDNAや遺伝子の研究をしていました。ただ、当時「ポケコン」という小型コンピュータを授業で使っていて、その上で動くゲームのプログラミングに夢中になっていったんです。その流れで、秋葉原にあるパソコンの卸・小売を手がける会社に就職しました。エンジニアではなかったのですが、在庫管理のシステムをアクセスで作ったりしていましたね。次第にその会社も大きくなり、大手の基幹システムを導入したのですが、それがイマイチで…(笑)。次第に、自分自身でシステムを作ってみたいと思い、エンジニアの実務経験無しで渋谷にあるIT企業に転職しました。

アールストーン・小椋 : そこから本格的なエンジニアとしてキャリアがスタートするわけですね。

テラスカイ・竹澤 : そうですね。転職したのは29歳のときでした。それからエンジニアとしてのキャリアを積み上げるなかで、佐藤(現・テラスカイ 代表取締役)と出会ったんです。当時、佐藤は私が働いていた会社でSalesforce事業を手がけていました。佐藤は、Salesforceの可能性を信じてテラスカイの起業を決意。その後、1年遅れで私もテラスカイに合流しました。

 

クラウドサービスは流行する、その確信があった

アールストーン・小椋 : 竹澤さんがテラスカイさんに合流されたのは、2007年と伺っています。当時はまだまだSalesforceというサービスや、クラウドという概念が一般的ではなく、マーケットも小さい状態だったと思います。

テラスカイ・竹澤 : 当時は「クラウド」という言葉も無かったかもしれません(笑)。Salesforceへの関心も今ほどはありませんでした。Salesforceの国際的なカンファレンス「Dreamforce」は、現在は世界中から15万~20万人が集まりますが、当時は数千人しか集まらないという規模感でしたね。

アールストーン・小椋 : それでも、Salesforceやクラウドに賭けようと思ったのはなぜですか?

テラスカイ・竹澤 : 私が29歳で転職したときに、主にオープン系の開発していたんです。そのころは、サーバや開発環境をセットアップするのに数日かかることが当たり前で、コードを書くまでにとても時間がかかっていました。しかし、Salesforceなどクラウドサービスを利用すれば、サインアップしてすぐコードを書くことができます。それに衝撃を受けたんです。これは、絶対に流行る。そういう確信がありました。

アールストーン・小椋 : テラスカイさんが創業してから上場までにかかった月日は9年。早かったですよね。

テラスカイ・竹澤 : 入社当初は、上場するまでにはもっと時間がかかると思っていました(笑)。

アールストーン・小椋 : 上場がゴールというわけではないと思いますが、ここまで早く上場を実現できたり、成長・発展を遂げてきた理由はどこにあるとお考えですか?

テラスカイ・竹澤 : 進化がはやいクラウドマーケットにおいて、クラウド導入を専業でやってきたという先行者利益が強みになっている点がまず挙げられると思います。また、SkyOnDemandという当社独自のクラウドとの連携ツールを持っていて、そのノウハウは非常に評価をされています。これらに加えて、当社はSalesforceの認定資格者が国内トップクラス。確かな知識とノウハウを有したエンジニアがいることも、成長要因となっています。

 

エンジニアたちの学習意欲を促進する

アールストーン・小椋 : エンジニアの成長を促進するために取り組んでいることを教えてください。

テラスカイ・竹澤 : Salesforceの中に「Chatter(チャタ―)」という機能があります。これは、自由に発言や質問が社内SNSなのですが、みんなでフル活用しています。技術的な質問が上がれば、誰かがすぐに回答しますし、その会話には私を含め役員陣も普通に入っています。このように技術的な知識・ノウハウを高めようという社風が浸透していて、それがエンジニアの成長を促進させる材料の一つになっていると思います。

アールストーン・小椋 : なるほど。

テラスカイ・竹澤 : また、トップベンダーから難易度の高い案件をいただくことも多く、エンジニアの挑戦心を掻き立てられます。それが成長につながっているという側面もあります。

アールストーン・小椋 : テラスカイさんには、意欲の高いエンジニアが多いんですね。

テラスカイ・竹澤 : そうですね。当社のエンジニアはみんな、成長意欲が高く、勉強熱心です。Salesforceは年3回、機能追加などを説明した600ページにもわたるリリースノートを発表します。発表されると同時に、社内のメンバーが自主的に600ページの要点をまとめてChatterなどで共有しています。そのほか、社内のトレーニングチームが勉強会を実施して、みんなでSalesforceの新機能について学んでいます。

アールストーン・小椋 : そういった風土が根付いているからこそ、テラスカイさんはSalesforce 系資格保有者の質・数ともに 国内トップクラスになっているのでしょうか。

テラスカイ・竹澤 : はい。学習意欲や好奇心が旺盛なエンジニアばかりですね。Salesforceには、オンライン学習の機能があって、資格を取得すると「EXPLORER(探検家)」、「RANGER(保護官)」といった称号バッチが獲得できます。そうしたゲーミフィケーションも生かすことで、エンジニアがみんな知識を高め合っています。

アールストーン・小椋 : 最後に、どんな人物であれば、テラスカイさんのエンジニアとして活躍できるかをお伺いしたいと思います。竹澤さんがこれまでお話しいただいたように、エンジニアを採用する際にも「学習意欲が高い」という点は重視しているんでしょうか?

テラスカイ・竹澤 : ITが好きで、勉強も好きであること。これは重視しているポイントです。私自身も、最近はディープラーニングに取り組んでいて、コードを書いていてもなかなかうまくいかないことあります。ただ、それで諦めず、お風呂に入っているときやお休みの日も、頭の片隅には「どのコードが間違っているのか」と考えてしまいます(笑)。そしてコードの間違いを見つけたときは、すごく嬉しい。――根気よく仕事に取り組みながら、知識を学んでいこうとマインドをお持ちの方と一緒に仕事がしたいですね。

Project Executiveその他の記事