「目の前の仕事が忙しいのに、経費精算や交通費精算に時間を取られたくない」――そんな思いを感じるビジネスパーソンは多いだろう。世の中では「働き方改革」が叫ばれているが、それを成功させるためには業務の効率化が大きなポイントとなる。そのための一助となっているクラウドサービスが、株式会社ラクスが提供している「楽楽精算」だ。

日本経済の大部分を構成する中小企業にフォーカスし、ITの力でその可能性を100%発揮できるように貢献することをビジョンに掲げている同社では、2009年に「楽楽精算」をリリース。経費・交通費・出張費・旅費・交際費など、お金にかかわる全ての処理を一元管理できるクラウド型の交通費・経費精算システム「楽楽精算」は機能改善を繰り返しながら支持・信頼を集めており、2017年にはSaaS型経費精算システム累計導入社数3年連続1位となっている(※)。

そんな「楽楽精算」の機能開発からUI/UXデザインを牽引しているのが、クラウド事業本部 開発部長の公手氏と開発デザイン課 課長である小林氏だ。今回、アールストーン・取締役である小椋がインタビュアーとなり、両氏に導入社数トップとなった「楽楽精算」の開発の裏側を語ってもらった。

※株式会社アイ・ティ・アール(以下、ITR)の発行する市場調査レポート「ITR Market View:予算・経費・就業管理市場2017」より

 

【写真左】 株式会社ラクス 執行役員 クラウド事業本部 開発部長 公手(くで)氏

前職ではプログラミングもできるWebデザイナーとして活躍。ラクス入社後に本格的にWebプログラマにキャリアチェンジする。現在はクラウド事業本部の開発統括部長として、ラクスを代表するサービス「楽楽精算」の技術面を統括する。プライベートでは格闘技を愛好しており、社内アームレスリング大会では、数々の強敵をものともせず優勝!!子煩悩な2児のパパ。

【写真中】 株式会社ラクス 開発部デザイン課 課長 小林氏

化学系の技術職を経て、プログラマーとしてラクスに入社。サービスの開発業務に従事する中でUI/UXデザインの重要性を感じ、開発部デザイン課を立ち上げる。現在は、同課をマネジメントしつつUI/UXデザイナーとして、「楽楽精算」の改善に尽力している。もともとは大阪在住でしたが、毎月の1週間以上の東京出張からついに東京に転居。夏は毎年フジロックに全日参加するなど音楽をこよなく愛する男。

【写真右】 株式会社アールストーン 取締役 小椋将樹

IT企業にて営業経験後、15年間大手人材紹介会社にて営業・コンサルタントとして活躍。子会社であるヘッドハンティング会社の経営、海外事業会社の統合・経営、人事制度の構築や統合、労務コンサルティングなどに従事。2018年にアールストーンにジョインする。

 

社内外でのコミュニケーションを重視

アールストーン・小椋 : 「楽楽精算」は2700社を超える企業が導入していると伺いました(※)。さらに「楽楽精算」は、SaaS型経費精算システム累計導入社数が3年連続1位となっており、お客様からの高い支持を得ているサービスだと思います。その背景には、技術サイドの努力や工夫もあると思いますが、具体的にどのようにしてサービスを改善しているのでしょうか。(※2018年1月末時点)

ラクス・公手氏 :  「楽楽精算」は、経費や交通費などの入力業務をゼロにすることを目標にしています。そのために、UI/UXデザインの精度を高めながら、AIなどの先端技術を取り入れ、入力自動化を進めています。

ラクス・小林氏 : 以前はUI/UXに関しても開発部署が担当していたのですが、より注力していくために専門部署である「デザイン課」を数年前に立ち上げました。競合サービスなども研究しながら、「楽楽精算」選任のデザイナー4名が日々改善のためのアイデアを練っています。

アールストーン・小椋 : UI/UXの改善はどのように行われていくのでしょうか?

ラクス・小林氏 : お客様の声を重視しています。日々お客様から多くのご意見が寄せられており、お客様をよく理解しているサポートチームや、営業チーム、エンジニア、マーケティングなど多くの部署とミーティングを重ね、より使いやすくするための議論を重ねています。また、実際に「楽楽精算」をご利用いただいている企業の経理担当者の方を訪問し、ユーザインタビューを通じて、普段どのように使われているかをダイレクトに伺っています。

アールストーン・小椋 : 一般的にデザイナーというと、お客様との接点がもっと少ないイメージがあります。しかし、御社は積極的に外に出て声を拾っているんですね。

ラクス・小林氏 : そうですね。社外・社内問わず、コミュニケーションを取ることに重きを置いています。昨年、「楽楽精算」のトップ画面のデザインを大幅に変更したのですが、そのときもユーザーの操作感を損なわないようサポートチームからの意見を重視して慎重に変更していきました。

ラクス・公手氏 :  今、小林がお話ししたように昨年トップ画面を大きく変えましたが、実際は日々、小さな改善・改修の繰り返しです。デザイン課が発案したもので、効果の高そうなものがあれば随時改修していきます。

現在は、”メインユーザーである企業の経理担当者がいかに使いやすいと感じてもらえるか”をテーマにおいていますが、今後は申請者側がより簡単に経費・交通費を申請できるように、スマホ版「楽楽精算」の改善・改修に注力しています。これを推進し、精算に関する入力業務を自動化するための取り組みとして、昨年から「Automata(オートマタ)」というエンジニアとデザイナー横断のプロジェクトを走らせています。

 

インプットが多く、知的好奇心の強い人材が活躍

アールストーン・小椋 : 部署を超えた横断プロジェクトになりますと、どちらが主導を取るかなど、進め方が難しいということも考えられます。「Automata」の仕事の進め方はどのような流れを取っていますか?

ラクス・公手氏 :  デザイナーからの起案でスタートし、その後はウォータフォール型の開発が中心となりますがアジャイルを採用するケースもある。特にウォータフォールにこだわっているわけではありません。柔軟性のある環境のなかで、テーマにあった一番効率の良いやり方を話し合いながら協業を進めていきます。

アールストーン・小椋 : そういった意味でも、コミュニケーションは重視されているんですね。

ラクス・小林氏 : そうですね。デスクを区切るパーテーションもないので、何かあればすぐに声を掛けています。さらに、私たちのデザインチームが作ったモックアップをすぐに開発チームに見てもらって、フィードバックをもらったりすることも多々あります。ほかにも、社内の営業メンバーに実際に経費申請を試してもらって感想を聞き、問題があればホワイトボードに書き出して課題を可視化しています。私たちが作ったものが、ユーザーの役に立たなければ何の意味もありませんから。やはりユーザーの声は大事にしていますね。

アールストーン・小椋 : 精度の高いUI/UXを生み出すためには、相当の技術スキルや知識も必要になると思います。それをインプットするための取り組みなどがあれば教えてください。

ラクス・小林氏 : インプットのための取り組みはいくつかあります。その一つが、読書会です。いくつかのデザインに関する本をピックアップして、朝のミーティング時に音読してディスカッションすることもあります。それ以外にも、UI/UXに関する共有会なども実施していますね。

▲開発デザイン課では社内のフリースペースを活用し、読書会などのインプットの場を設けている

ラクス・公手氏 :  エンジニアチームも「もくもく会」といって好きなテーマをひたすら勉強する会や「ビアバッシュ」というカジュアルな発表会を催しインプットを促進しています。また、ラズペリーパイを使ってIoTを研究したい、ドローンをプログラミングで操ってみたいといった声が上がってくるのですが、業務には関係なくても、そういう面白いアイデアはエンジニアの成長につながるので積極的にトライしてもらっています。

アールストーン・小椋 : エンジニア・デザイナーといった職種を問わず、インプットできる機会が多いんですね。

ラクス・公手氏 :  当社で活躍するハイパフォーマーのエンジニア・デザイナーに共通しているのは、やはりインプットが多い人材です。新しいものに目を光らせていることは非常に重要ですね。知的好奇心を満たす環境は当社に大いにあると思います。

 

プロダクトアウトの発想で、私たち自身が新機能を生み出す

アールストーン・小椋 : それでは最後に、今後のビジョンについてお聞かせください。

ラクス・小林氏 : デザイナーとエンジニアによる横断プロジェクト「Automata」の開発が順調に進んでおり、私たちが目指している”入力業務ゼロ”に近づく新機能の第一弾がそろそろリリースとなります。まだ詳細はお話しできないのですが…、ざっくりというとAIを活用した入力自動化機能。そして、第二弾、第三弾と、新しい機能を次々とリリースしていく予定です。

ラクス・公手氏 :  いいままでは、ユーザーの声をベースに“マーケットイン”の発想で改善・改修していました。一方、「Automata」はプロダクトアウト的な発想で開発に取り掛かっています。つまり、ユーザー自身は気が付いていないけど私たち自身が絶対に役に立つと思う機能をユーザーに提案していくのです。「Automata」を含め、さまざまな取り組みを通して、入力業務ゼロを実現していきたいですね。

 

 

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